企業経営における「不易流行」

【不易流行】
いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること。蕉風俳諧の理念の一つ。「不易」はいつまでも変わらないこと。「流行」は時代々々に応じて変化すること。(三省堂 新明解四字熟語辞典より転記)

 企業経営に携わる皆様はよくご存じのことばですが、コロナ禍で厳しい状況にある今、改めてこの言葉について考えました。
【不易】時代が変わっても、いつまでも変わらないこと、変えてはいけないもの。企業の屋台骨である「経営理念」や「創業者のおもい」、企業の存在意義である「企業は社会の公器であるとの姿勢」などでしょうか。
【流行】時代に合わせて変化していかなければならないもの。事業内容あるいは商品、人財育成や業務管理のシステム、営業の仕方などが考えられます。
 第三者の視点では極当たり前に思えます。しかし当事者になると、安定した業績を上げていた企業ほどいつの間にか保守的になり、直近まで成功していたサービスや商品にこだわって、利益を捻出するために本質を忘れてリストラなど社会の公器とはいえない行動をとってしまうのでしょうか。
 そういったことを考えていて、関連する記事を見つけました。日経ビジネス(電子版)の「コロナ危機下でも顧客ニーズを見つける発想法」(https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/043000134/)という記事からの抜粋を以下にご紹介します。

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「コロナの影響で、自社の事業は打ち手がない」と嘆いている場合ではない。顧客があなたの会社に望んでいることはたくさんある。
 現在、コロナの猛威が企業を直撃しているが、顧客サイドに立つ会社は新たな道を切り開こうとしている。ここで問いたいのは、顧客ニーズの把握の重要性そのものではない。もっと手前の話で、顧客に向き合う経営者の姿勢だ。

 庭の手入れサービスを展開する「oh庭ya(おにわや)」(名古屋市)は、庭木の剪定や除草から事業をスタートさせたが、今では駐車場の高圧洗浄や顧客の自宅から離れた空き家・墓の管理なども扱う。どれも顧客とのやり取りで隠れた需要を知ったのがきっかけだ。
 「顧客ニーズのヒントは、実はどの会社も見つけているのではないか。そこで難易度が高いと諦めるのではなく、腹をくくって顧客の要望にすべて応えようとする。その姿勢を見せれば、顧客は安心してこれもお願いしてみようという気になる。その意味ではニーズはつかむのではなく、顧客に全面的に寄り添う姿勢によって生み出されると当社は考えている」。こう語るのは、oh庭yaの赤嶺賢(まさる)取締役だ。

 渡辺隆治代表が経営するヘアサロン「キラリ」(愛知県岡崎市)は、平日の営業を10時から最終受付24時までとしている。2010年のオープンから3年間は9時から最終受付19時の営業だったが、売り上げは伸び悩んだという。オープンから4年目に最終受付を19時から24時へと後ろ倒しした戦略は、顧客ニーズに的中。売り上げは約2倍に増えたという。
 「普通は店を閉めている時間帯なのに開けている」という利便性を顧客に提供する代わりに、値上げを受け入れてもらえる可能性もある。渡辺代表は「夜遅くまで働く自分のモチベーションが下がらないよう、カットは4000円から5000円、ヘッドスパは3000円から5000円に値上げした」と説明する。

 米菓を製造販売する「精華堂霰(あられ)総本舗」(東京・江東)は同業他社からのOEM(相手先ブランドによる生産)をこれまで請け負ってきたが、この5年ほどは異業種の開拓に力を入れている。清水敬太社長は「売上高のうち、1、2割程度を占めるまでに成長した」と話す。清水社長が目をつけたのが、新たなOEMニーズだ。例えばご当地ものを米菓で作りたい地方の食品メーカーや、コーヒーにあられを添えたいカフェなどから相談を受けている。「持ち込まれた案件は、基本的に全部引き受ける」という清水社長の姿勢は、コロナ危機下の経営者が学びたいこと。長く商売している会社ほど業界にネットワークを持ち、他社の得意分野も把握しているだろう。「自社で難しい部分は、他社に再委託すればいい。そうした姿勢で取引に臨むと、大抵の案件は引き受けられる」(清水社長)。
 平時ならライバル関係にある企業も、危機下では頼れる同志になる。

 今回の突発事態にポジティブに捉えられる部分があるとするなら、それはいつの間にか経営者に染み付いた事業についての固定概念を取り払ういいチャンスという側面ではないだろうか。

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人を大切にする経営学会人財塾生 松久 知美

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