人を大切にするいい会社:コーケン工業

 こういう時期だからこそ、坂本光司先生の著作に掲載されている”人を大切にする会社”を、改めて学び直しています。

 今回は、”コーケン工業”についてご紹介させて頂きたいと思います。
(”コーケン工業”のホームページ:http://www.koken.jpn.com

.”高齢者雇用のきっかけ - 4世代に亘る社員が家族のように助け合う会社 -
最初は、人手不足の解消から始まりました。

●健康なおじいちゃん、おばあちゃん、大募集
 今から30年ほど前、街中で元気なお年寄りが多いことに気づき「健康なおじいちゃん、おばあちゃん、大募集」と社員募集したことが高齢者採用の始まりでした。雇ってみると、高齢者は真面目で経験豊富なことが幸いし、”老いも若きも社員みんなで助け合って笑顔で仕事をする環境”が自然と生まれました。「やる気があれば、採用します。やれることはたくさんありますから、何をしてもらうかは後でゆっくり考えればいいのです。」

.”社風を伝えるエピソード - 仕事は人に合わせて決めればいい -
”コーケン工業”の社風が伝わる”エピソード”をお伝えしたいと思います。

●あなたがいなくなったら会社が困る
 93歳まで勤めた松下さんという女性社員がいました。74歳で入社し80歳の誕生日前日に”みんなの足手まといになりそうなのでやめた方がいいと思う”と社長に伝えに来ました。「あなたは会社に必要な人じゃないか。いなくなったら会社が困る。ここにいて頑張って働いてくれ。」社長のことばを聞いた松下さんは、安心したようににっこり笑って”明日からも頑張ります”と答えたそうです。
 松下さんは、その後 93歳の時に気づかぬ内に会社でおもらしをしてしまい、家族の意向で止むなく退職することになりました。「パンツ型のおむつを履かせてあげれば、もう少し勤めて頂けたかもしれない。」と社長は今でも悔しそうな顔をします。松下さんは、退職3ヶ月後に心臓麻痺で急逝されました。お葬式には、社葬と思われるくらいたくさんの社員が参列したそうです。

●ノリちゃん、よう来た‥、よう来た‥
 近くの養護学校から入社したノリちゃんという女の子がいます。知的障がいがあり、男性とはまったく口をききません。うまく会社になじめるか社長は心配でしたが、工場のおばあちゃんたちが奪うようにノリちゃんの世話をしました。”ノリちゃんが出来る仕事を探し、少しずつむずかしい仕事を与えていく”ように配慮してくれたのです。
 そのノリちゃんが、突然会社に来なくなりました。飼っていた愛犬が死に、そのショックで家を出られなくなったのです。それでも、会社は雇用を継続していたので、お母さんは毎月社会保険料の自己負担分の支払いなどで会社に来ていました。ノリちゃんは、そのうちお母さんの車に同乗できるようになり、2年後 お母さんと一緒に会社に来て車から降り工場に入りました。「ノリちゃん、よう来た‥、よう来た‥」おばあさんたちは、大喜びで大歓迎しました。その日をさかいにノリちゃんは、再び会社に来るようになりました。「待ったかいがありました‥」社長が、思わずつぶやきました。

.”私が感じていること 徳のある人を社長にする

●世のため人のために頑張れる優しさが大切です
 先代社長は、”会社の中でいちばん徳に優れた人”と考える人を後任の社長に選びました。「”徳”とは、世のため人のために頑張れる優しさのことです。人のために役立とうとしたら、能力を高めるために努力するようになります。」
 私は、以前 2人の違うタイプの社長に仕える機会がありました。1人は”才能豊かで理解が早く、スピーチでも文章でも人を感動させる”タイプの人でした。もう1人は”喜怒哀楽が豊かで、必ず現場の声を聴いて判断する”タイプの人でした。どちらも私には到達できない立派な方々ですが、会社を活性化し成長させたのは”後者の社長”でした。その理由は「社員とともに笑い、泣き、現場を担当する社員からの声に耳を傾けるその姿勢に、社員は社長を信頼してついていったからだ」と、個人的には感じています。

 ”コーケン工業”は、超高齢社会のモデルになるような、全ての人に優しく温かい会社です。こういうことができるのも、高い技術力を持ち材料調達から加工までの一貫生産体制を構築することで、30年以上黒字経営を継続しているからです。

人を大切にする経営学会人財塾2期生
合同会社VIVAMUS 中村敏治

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