No132記憶に残る経営者の言葉32 徳武産業(香川県さぬき市;ケアシューズ製造業)十河孝男会長

今回は2012年3月の「第2回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて審査委員会特別賞を受賞された『徳武産業株式会社』さん。

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2012年9月に坂本ゼミ夏季合宿先のひとつとして訪問し、十河孝男社長(現;会長)にお話を伺いました。

“一人の社員も落伍者を出さないために社員一人一人と向き合う”

あゆみシューズで知られる徳武産業さんは徳武重利氏が昭和32年香川県さぬき市に手袋メーカーとして創業しました。創業後5年ほどして、おとなり徳島県のスリッパ縫製技術を取り入れ、スリッパ作りに転換します。しばらくして、大手子供用運動靴メーカーの下請け工場になることができ、運動靴のアッパー部分を製造するようになりました。

後継ぎを計画していなかった徳武重利氏は、長女の夫であった十河さんに後継社長にってほしいと熱心に依頼しました。徳武重利氏はまだ59歳の若さだったために十河さんはすぐには社長になるつもりはありませんでしたが、十河さんが入社後すぐに重利氏が病気で倒れ、入院後たった数日のうちに亡くなってしまう悲劇がありました。

急きょ社長に就任した十河さんでしたが、義母や当時15名ほどの社員との関係はぎくしゃくし、経営は順調にはスタートしなかったのです。

十河社長が先代から経営を引き継いだ時の売上金額は、一億円の大台の少し手前だったために、すぐ大台を超えると思っていたところ、なかなか超えられませんでした。その話を先代の法事で住職さんにしたところ、“先代と張り合って超えることを目指すのではなく、社長を任せてくれた先代に感謝することが必要”と言われ、涙が止まらなかったと言います。その日から十河社長の心に変化があり、社長就任後うまくいっていなかった義母や社員との関係も不思議とうまくいき始めたのでした。

“一人の社員も落伍者を出さないために社員一人一人と向き合う”

経営者である前に誰もが平等な人間であり、社長の役割、社員の役割というように役割の違いがあるだけなのです。決して社長であるだけでは人として立派なわけではないのだと教えてくれました。

以前に投稿した記事は 徳武産業株式会社【No13いい会社視察2012/9/3】 このブログ内を検索してご参照ください。

***補足***

この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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