電子署名の時代に

電子署名が加速化しています。一番遅れていた行政も本気で電子化へ進む方向に舵を切りました。デジタルにより、時間の加速化、空間の拡大化の中、電子署名はリアル署名、捺印と異なり、その場にいるこことなく決裁や契約ができます。

 しかし何もかも電子署名でよいのか、というと少し疑問が残ります。

 例えば、婚姻をするとき、婚姻届けに署名捺印をすることは、結婚する2人にとってはとても重要な儀式です。お互いに署名をし、その後ろに印鑑を押すことは、まさに始めての共同作業といえるでしょう。

 そして、結婚した2人が懸命に働いて、家族のために家を購入するとき、少し厚手の契約書に署名・捺印する時の高揚感と緊迫感は誰もが思い出に残っているのではないでしょうか。

 遺言書を作成する際も、最後に日付を記載し、署名をして、実印を押す。この時の覚悟は特別のものがあります。

 このように、一生に一度あるかないかの契約をするときに、自著して、実印をしっかり押す、という動作は、重要な儀式のようでもあり、大切な日本の風習のように思います。私は、このような習慣を完全になくしてしまうのは、もったいないと思ってしまいます。

 デジタル時代は、デジタルとアナログを適宜使い分けていくことが必要だと思います。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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