No157記憶に残る経営者の言葉57 有限会社十勝しんむら牧場(北海道河東郡;放牧による酪農業)新村浩隆社長

今回は2013年9月と2017年9月の2度、坂本ゼミ夏合宿先として訪問させていただいた北海道にある『十勝しんむら牧場』さんから、新村社長の記憶に残る言葉をご紹介致します。

4代目の新村浩隆社長が23才の時、それまで牛舎の中で飼っていた牛を放牧酪農へ転換する大きな決断をしました。その判断に至った農業への想いは、100年以上先を見据え、食への想いに繋がっています。ひとつひとつの言葉に重みがありました。

従来の飼育方法

・牛を牛舎で飼って、エサは口元まで運び、牛糞は人間が集めて処理をしていた

・つなぎっぱなし、まったく歩かせない、太陽を浴びることがなく不健康な牛になる

・本来は牛が自分でできることを人間の都合で牛舎に飼っていた

・たくさん搾れば売上はどんどん上がる

・牛乳の質を追求せず美味しい牛乳を作ろうとはしなかった

仮に美味しい牛乳をめざし、コストをかけて、他の牧場とは違う飼い方をしても、“販売先がJAである以上、タンクローリーの中では他の牧場分を含めたすべての牛乳が混ざってしまい、牛乳の買取価格には反映されない”のです。

“品質を重視せず、価格決定権がない現状を変えなければならない”

“放牧酪農を確立し、安心安全な牛を育て、美味しい牛乳を作り、直販体制を確立する”

放牧酪農のためには

“3~8年かけて土づくりから始めた。そして草作り、牛作りをした”

“土が本来の力を回復して微生物や昆虫が増えて生態系が整っていった”

“自然の潜在力が回復すると同時にその循環が始まった”

“広い大地でのびのび育った牛たちの体は引き締まり表情もおだやか”

“牛糞は土が分解するので人間が集めて回ることはしない”

放牧酪農の効果

・牛が草をたべることで肥料や輸入穀物購入量が減少、補助金依存度も減少

・牛の病気がほとんどなくなった

・牛糞を集める作業もなくなり、重機が減り燃料代も減った

・不要となった重機保管場所を商品製造工場に転用

・新たな商品開発や新しい養豚事業を開始した

しんむら牧場のミルクジャムは日本初の商品です。また牛乳は低温殺菌処理されたものです。同社は急成長や急拡大とは無縁で、社長が納得したやり方・目の届く範囲の成長に徹しています。土作りを徹底し自然の力を引き出して循環させる安全で安心な酪農からうまれる商品はどれも安心感が詰まっています。

是非同社のオンラインストア http://www.milkjam.com/ をチェックしてみてください。

以前に投稿した記事は 有限会社十勝しんむら牧場【No48いい会社視察2013/9/9、2017/9/13】 です。このブログ内を検索してご参照ください。

***補足***

この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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