社員が副業を始めたら

副業・兼業の促進に関するガイドラインが昨年9月に改定されてから、9か月が経ちます。新型コロナウイルス禍の中、副業・兼業をされる社員も増えていると思いますが、労働時間管理については注意が必要です。

 労働時間は、原則、副業・兼業時間も合算して計算されます。たとえば、当社で8時間勤務した後に、別の会社で4時間勤務すると、この4時間は時間外労働となってしまいます。

 もっとも、副業・兼業の時間は合算されない場合もあります。その例外は2つです。

 まず労基法の適用を受けない副業・兼業です。例えば、フリーランス、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事などです。

 次に労基法の適用は受けるものの、労働時間規制を受けない副業・兼業があります。例えば、農林水産業、管理監督者、高度プロフェッショナル制度適用の仕事などがこれに当たります。

 もちろん、これは単に労働時間として合算されず、時間外手当が発生しないというに過ぎず、これらの場合でも安全衛生の観点から長時間労働にならないように配慮することが望ましいとされています。

 労働時間の合算は、社員の自己申告によることになりますが、会社は社員の副業・兼業も含めた労働時間の管理をすることが必要です。

 そのためには、副業・兼業を認める場合でも、次のような内容を確認しておくことが望まれます。

①事業の内容と本人の業務の内容

②労働時間通算の対象となるかの確認

③労働契約の締結日及び期間

④所定労働日、所定労働時間、始業・終業時間

⑤所定外労働の見込み

 もっとも、会社としては社員の副業・兼業を認めている場合には、その相談や自己申告等について不利益な取扱いをすることはできませんので、無理強いはできません。社員とのコミュニケーションの取り方が重要です。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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