「つながらない権利」

9月27日の日経デジタル版に「時間外の業務連絡切る『つながらない権利』、世界で普及」との記事が出ていました。

 2021年7月、イギリス労働党が「ニューディ-ル・フォー・ワーキング・ピープル」を発表し、テレワークを標準的にする法制整備に取り組むとして、政策の柱に就業時間外にメールなどでの業務連絡を拒むことを働き手の権利とし、雇用主にこの権利を尊重する義務を課す、としているそうです。

記事によれば、フランスは2017年に労働法においてつながらない権利を規定しており、EUも加盟国につながらない権利の法制化を進めるよう求める議案を可決し、メキシコ、アルゼンチンもテレワーク法などで同権利を盛り込んでいるそうです。

今の法律においても、仮にテレワークであっても労働時間外にメール、SNS、電話等に応じる必要はなく、応じた場合は、本来時間外労働になります。NTTデータが2021年3月に実施した「就業時間凱の業務連絡(電話・メール)についての考え方」のアンケートにおいて、「対応したくないが対応するのはやむを得ない」と答えた日が46.7%いたそうです。

私なども、休日に思い立ったことは、忘れないうちにメールをしておこうと重い、事務所のメンバーについついメールを出してしまいます。こちらとすれば、備忘のつもりで、電話ではなくて、メールだから、相手もいつ見るか決められるので、いいだろうと思って出してしまいます。そして、当然、その中には休日有るにもかかわらず、返信をしてきてくれる職員がいます。「休日なのだから応じてくれなくて良かったのに、でも助かった。」と思ってしまうようなことをやってしまっています。これはすでにブラックです。反省、反省。前述したように、50%近い人がやむを得ず対応をしています。確かに上司から、メールが来たら、翌日勤務時間になってから見よう、と思える人は少ないのだと思います。

わざわざつながらない権利を法制化しなければならないというのは、このような社員の気持ちがあるからでしょう。

しかし法制化がなくても、時間外勤務をさせないようにする義務が経営者にはあります。連絡を取りたくても我慢するようにしなければなりません。電話は論外ですが、メールも同様です。今はメールの配信時間を設定できるのですが、一手間かけて、翌日の勤務時間になってからメールが配信するよう心配りが必要です。

そして、どうしても時間外に連絡をしなければならない場合は、時間外労働となることを認識し、きちんと時間外手当を支払うようにするべきです。このような風土が定着すれば、つながらない権利の法制化までは必要ないかもしれません。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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