「採用時の情報収集方法の適否」

昨年ころから、就職活動に際して、企業から就活者の「裏アカ」特定サービスを利用する需要が増えているという記事等を目にする機会が増えました。ご承知のとおり、「裏アカ」とは「裏アカウント」のことで、SNSで発信する場合に、表の本名で発信する以外に、別の名前で発信することを言います。私のように50歳を過ぎた人間には、「裏アカ」などというものは必要がありませんが、若い人は5~6のアカウントを使って、それぞれ別人格となってツイートしたり、インスタグラムに投稿したりしています。裏アカをもっている人から言わせれば、表の人格で繋がっている人たちにはあまり知られたくない、たとえばオタクとみられがちな趣味や関心をもっている場合に、同じ趣味の人たちとは繋がりたいというような場合や、彼氏や彼女の愚痴を言いたいが表だと本人にも知られてしまい気まずいなどというような場合に裏アカで投稿をしているそうです。  

いわば、偽名つまり匿名の投稿なので、一般的には直ぐに自分自身と紐付けられないことから、本音を語れたり、又は自分の中にある負の部分、時には闇の部分が現れたりします。

企業が新人を採用する際に、その対象者をWEB上で検索をしたりすることはあろうかと思いますが、裏アカを特定するには、専門的な技術が必要であることから、このようなサービスの需要が増えているようです。

しかし、そもそも人間とは完全に1つの人格のみで成り立っているものではなく、正も負も合わせ持つ矛盾した存在であり、出来るだけ世の中には負の部分は見せたくないから通常はそれらの感情を表に出すことはしないだけであって、負の部分が全くないというような人は存在しないと思います。そのような負の部分を探し出して、つまり裏アカを特定してその内容を知ったからといって、それのみがその人の本性であるということもできないと思います。

そのような表に出したくない面を裏アカで表現することの是非はともかくとして、それを探索しその人のことがよく分かると思うことは間違いだと思うのです。

やはり、面談をして、その人となりを見定めて採否を判断すればよく、その後、その見定めが間違っていたならば、それは採用者の目が未熟だったというふうに考えるべきだと思うのです。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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