取締役報酬は社員が納得できる基準が必要

今年改正施行されました会社法では、株主総会で報酬を決議しない企業に対して、取締役の個別報酬に関する決定方針を取締役会で決議、開示することが決められました。これは、多くの企業で個別の取締役報酬の決定を代表取締役に一任しているため、取締役報酬の総額は株主総会で決定されていても、誰に幾ら支払われるかについては、ブラックボックスに入ってしまっているという問題に対応したものです。10月25日の日経新聞によれば、主要企業の6割がトップ一任方式で役員報酬を決めているとのことです。これに対し、投資家の8割が否定的だと報道されていました。

 しかし、単に投資家や株主の問題ではありません。役員報酬の決め方、そしてその金額は社員のモチベーションにも大きく影響し、中小企業であれば、業績そのものにも影響を与えることになろうかと思っています。

 この点、坂本先生は、新入社員は勤務時間も限られており、当然に残業はできるだけさせるべきではなく、していないことを前提に、週休2日の休みをとりながら仕事をして、給与をもらっているのであり、一方で社長は24時間、経営のことを考えているのであるから、平日は新入社員の3倍は働いており、また休日も経営のことを考えたり、学んだりしてきているのだから、それを1.5倍と考えれば、新入社員の年収の4,5倍程度が妥当ではないかと提案されています。

 もちろん、この場合は、当然に社員からみれば、社長は自分達の4.5倍は働いているのだという納得があってのことであり、社長が平日にゴルフに行っていたり、平日夜も飲み歩いて遊んでいるのであれば、このような基準の報酬は妥当ではないと考えるのだろうと思います。

 いずれにしても、報酬は、社長の働き方の姿勢とマッチしていることが重要だと思うのです。とするならば、報酬決定はトップ一任方式によるのではなく、もっと明確な基準によるべきだろうと思うのです。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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