狡猾なカエルを許すな

世の中が大きく変化しています。新型コロナウイルスの影響もあるとは思いますが、それ以上に急速に世界が新しい時代にむかって変化しています。私ども弁護士の業界は、「ブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)」の内のgoons(日本語版では「脅し屋」などと訳されていますが、goon自体はアホの意味で、goonsはアホの集合体)に分類され、パラリーガル(弁護士助手)はオックスフォードのAIによって10年後になくなる仕事にノミネートされています。このように業界環境は悪化しているものの、身にしみて危機意識をもてない者が多くいます。

ところで、このように、厳しい環境に徐々に変化しているにもかかわらず、その環境変化に気付くことなく、のほほんと過ごしていることを、「ゆでカエル」などと表現したりします。カエルはいきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出すが、常温の水に入れて、水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失いゆであがってしまう、などといわれています。現実には、常温の水から段々水温を上げていく場合でも、熱くなればカエルは逃げ出すという説もあるようですが、あくまで「ゆでカエル」理論は、寓話として経営の分野ではよく語られます。

しかし、怖いのは、水温が上がっていくことに気がつかないカエルの中で、実は気がついているけれども何もしない狡猾なカエルがいるという喩えです。狡猾なカエルは、周りがゆだるギリギリまで、知らぬ振りをして、そのまま居続け、皆を安心させておいて、自分が逃げられるギリギリのところで、自分だけ逃げ出し生き延びます。

 事業承継が出来ずに廃業をする中小企業が増えています。廃業を決意する経営者は、きっとある程度前から、もう自分の周りの水が煮え始めているのに気が付いているはずです。気づきながら、何ごともないように振る舞い、何も知らない社員が安心して働くのをみながら、水が煮え上がってきたときに突然廃業をして、自分だけ生き延びる、まさに狡猾なカエルのようです。

このような狡猾なカエルを許さない、事業存続の努力をせずに廃業をする経営者を許さない、という世論が形成されていくことを切に願います。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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