力の使い方

名門と呼ばれるゴルフ倶楽部には、今でも駐車場の近くに「運転手控室」なるものがあります。ネットなどの情報を見ますと、最近でもまだ一定のゴルフ倶楽部では設置されているらしく、控室専用のリビング、仮眠室、個室、シャワー室、専用の食堂等を完備しているところもあるようです。昔は、ゴルフ倶楽部が社交場となり、ゴルフ倶楽部で商談がなされていたとも聞きます。しかし、今はそれもかなり減ったのではないでしょうか。そもそも運転手付きの経営者も減ってきているかもしれません。運転する間も惜しんで仕事をされている方にとって、運転手さんの社員を雇うことも十分意味があることとは思います。

 あくまで運転手さんも仕事・業務として運転をされているのであり、経営者のプライベートにまでかり出されるのは本意ではないはずです。しかし経営者から業務だと言われれば、従わざるを得ないところだと思います。ある意味理不尽な場合まで社員は経営者の言うことに従わなければならないのは経営者に力・権力があるからです。

 しかしこの権力はどのような場合でも行使していいわけではありません。この点に関して、デボラ・グルーンフェルド著「スタンフォードの権力のレッスン」には次のように書かれています。

「集団の中では、自分の利益を守るために権力を使ってもいい結果は得られない。しかし、他者の利益を守るために権力を使うなら、ほとんどの場合、全体にとっても自分にとっても望ましい結果が得られる。」

 力を持つ者は、その力を自分の利益のために利用しても成功せず、他者の利益のために使ってこそ、周りとっても自分にとってもいい結果が得られるということです。経営者が、自分の利益のために力・権力を使えば、自ずと社員はついて来ず、その会社は遅かれ早かれ衰退していってしまうでしょう。

 自明のことなのに、ついつい気がつかずに自分の力を誤った方向に使ってしまうことがあります。そのようなことにならないよう力を持つ者は、絶えず自分を律しなければならないのですね。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です