人生二毛作時代と副業

 「第二の人生」とは、ドラッカー氏による1969年日本出版の「断絶の時代」に書かれたおり、「人生二毛作」は2010年の外山滋比古氏の著書の言葉です。いずれも人生の20年以上を仕事中心の生活を送ってきた中高年に向けた後半戦の生き方を示す内容です。20年以上の職歴があると、いずれの方もその道のプロフェッショナルとなり、仕事上の迷いも少なくなり、効率も上がって、会社によっては、管理職となっている年齢です。そして、法改正により、企業の雇用も70歳まで雇用を努力目標とするようになりました。

 「第二の人生」も「人生二毛作」も言葉のイメージからは新たに別の人生を歩むかのような印象を持ちますが、人生100年時代、労働人口も減少傾向にある日本においては、会社にとっても貴重な戦力です。

 そのような中高年の社員に、会社に在籍して、能力を発揮してもらいながら、一方で、本人の豊かな「第二の」人生を過ごしてもらうために、副業を解禁することが必要とされる時代になってきたと思います。

 会社としては、本業をおろそかにしないか、情報が漏洩しないか等心配な面も多いと思いますが、一方で変化の激しい時代に、社員が全く異なる世界でチャレンジすることによって、本業のイノベーションに繋がることもあり得るところですし、本人が充実した人生を送れば、本業でも生き生きと働けるのではないかと思います。

 会社のこのような心配事に対しては、副業を認めるにあたって、本人との間に副業合意書を結び、守秘義務の徹底、競業他社での稼働の禁止、本業を疎かにしないこと、またこれらの遵守に疑義が生じた場合には副業許可を取り消す場合があり、それに本人も了承することなどの内容を盛り込むことによって対応できます。

 人生二毛作時代、貴重な人財を手放すことがないよう副業を認めるということも検討する必要があるのではないでしょうか。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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