北洋建設株式会社さんが東京弁護士会人権賞をとりました

弁護士は、日本弁護士連合会に所属するとともに、各都道府県の弁護士会に所属しなければなりません。通常1都道府県に弁護士会は1つなのですが、東京だけは、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会と3つの会に分かれています。東京弁護士会は一番所属人数が多く、私も東京弁護士会所属です。

 さて、この東京弁護士会では、1986年から人権擁護活動に尽力された方々を表彰しています。この賞は、弁護士法第1条が「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と定めているように、人権擁護を責務としていることから、この責務の一つとして、人権擁護活動に地道な努力を積み重ねてこられた方々を表彰し、人権の発展、定着に寄与するため、このような制度を設けています。

 第35回の人権賞として、北洋建設株式会社が受賞しました。株式会社が受賞するのは初めてのことです。

 北洋建設株式会社は、ご承知の方も多いと思いますが、北海道にある建設会社であり、1973年に創業して以降、長年にわたり刑務所からの出所者を積極的に採用してきた会社です。その採用人数は、現在累計で600名を超えるそうです。代表取締役である小澤輝真さんは、脊髄小脳変性症という難病にり患しており、余命10年と宣告されながらも、先代のお父様の意志を引き継いで、継続的に元受刑者の採用を取り組まれてきました。

 元受刑者は、社会的に適応できず、経済的にも困窮している人が大半です。社会的に適応が難しいので、北洋建設でも9割5分の元受刑者が就職しても辞めてしまうそうです。

 北洋建設は、全国組織の日本財団職親プロジェクトにも参加しています。職親プロジェクトとは、受刑者や少年院出院者の更生を支えるため民間企業が集まっている組織です。大阪の千房株式会社等が2013年に参加して始まった活動です。

 掲げられていることばは、「過去は変えられないが、未来は変えられる。」です。

 共にこの世の中に暮らしていく人々が、社会に受け入れられ、自らの力で生きていくことが出来るようみんなで支え合っていく仕組みが必要です。

「共生」は、今生きる我々にかせられた使命です。このような取り組みもっともっと広がっていくことを望みます。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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