労働時間と休暇と怠惰

以前にこのブログで、労働時間について書かせていただいたことがあります。日本では1947年に一日8時間労働制となり週休1日でしたので、週48時間と定められていました。その後1987年に週休2日を前提に、週の労働時間は40時間に変更されました。様々な分野に機械化が進み、週48時間が40時間になるのに、40年の歳月がかかりました。現在は急速なIT化が進んでいますが、1987年以来35年が経っていますが、未だに週40時間に変化はありません。

 そんな中、今年の8月の日経新聞に、京都に本社があるA社が給与を維持したまま労働時間2割減とし、週32時間勤務のトライアルを実施したそうです。週32時間というと、週休にすれば週休3日、週休2日とすれば、1日の労働時間は6時間20分です。この会社は2020年にボランティアなどの社会活動に参加するための有給休暇付与を最大20日間までに増やしています。

 今の若い人たちは、ライフワークバランスを重視しており、日経ビジネスよれば、Z世代の中にはプライベート:仕事を5:5と考える人もいるそうです。

 昭和世代からすると、ちょっと気になるのは、空いた時間をどう使うのか?という点です。休みですから、どのように使おうが自由であり、会社や経営者がとやかくいうことではありません。しかし、「休暇」と「怠惰」は違います。せっかくの休暇を有意義に過ごしてほしいと思うことは経営者としては当然のことだと思います。この点に関連して、このA社の行動規範には、面白いことが書かれています。

「5.浪費追放 資金や時間をはじめとする資源の浪費を廃し、役立つ分配を意識するよう行動します。」

「7.三行排除 怠ける事と休息をとる事は根本的に違います。Aグループは。不労所得を賞賛する発言や行動を「怠惰」と考え、これを排除します。」(社名引用者変更)

またサステナブルソリューション「10ヵ条」には、

「8.体と心に汗をかく。手間を惜しまず、汚れを厭うな。」

「9.限界を定めない。「ゴールだ」と思った地点はまだ5合目。」

このような行動規範を社員と共有しているからこそ、大胆な労働時間制度を導入できるのかもしれません。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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