強みを生かす
障がい者雇用を行っている会社にお伺いすると、その本人の得意とするところに上手く仕事をフィットさせ、それを成果として、本人も充足感を得られるし、企業も利益を得られる仕組みを作られているように見えます。実際、そのように実践されているのだと思います。このような会社は、いわゆる健常者といわれる社員に対しても、その強みにフォーカスしているように感じます。
ところがあまり上手くいっていない企業になると、健常者はオールマイティで、本来何でも出来なければならないといわんばかりに、適材適所を考えず、会社都合で部署等を決めているように思います。
P・F・ドラッカーは、「プロフェッショナルの条件」の中で、次のように言っています。「組織といえども、人それぞれがもっている弱みを克服することはできない。しかし組織は、人の弱みを意味のないものにすることができる。」「組織とは、強みを成果に結びつけつつ、弱みを中和し無害化するための道具である。」つまり経営者は、社員の強みを見つけ出し、その強みを仕事において実行してもらうことを探求し続けなければならないと言えます。
一方で、社員もまた、自らの強みを発見し、伸ばし、そしてその強みに集中して、仕事に活かして行かなければならないと思います。
経営者が外から見る社員の強みと本人が自覚する強みは、時には違う場合があるかもしれません。その場合は、どちらかが誤った見方をしている可能性もあるのです。社員の真の強みを発見するためには、1 on1ミーティングなどを利用して、経営者と社員とがその点について、意識的に話合いをする場を設けることが大切だと思います。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)
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