フェアネス指数をみて思うこと
年明けの日経新聞に、「フェアネス指数」という指数開発及び各国分析の記事が掲載されました。皆さんもご覧になっていると思います。
フェアネスをあえて日本語にすれば、公正さということになると思いますが、公正という文言もかなり意味が分かりづらい言葉です。誤解を恐れずにいえば、「特定の者に偏ることなく公平」で、かつ「正しくある」ということではないでしょうか。
日経新聞では、この公正さを表す指標として、10項目を①政治と法の安定、②人権や環境への配慮、③経済の自由度、の3分野で整理をし、各国の点数を付けており、日本は77点で11位とのことです。そして、このフェアネス指数は、これからの社会においては、企業や個人にも当てはまる、と言っています。
この項目は全てを同列に扱っているようですが、本来、「自由」の保障が一番重要です。自由があってこそ人間社会は成り立っています。まさに「人権」そのものです。しかし全ての人が自由に「自分勝手」に相手の利益も考慮せず、人の人権をないがしろにして、自由(自分の人権)のみを主張すれば、争いとなります。そのため他の人々と折り合いを付けるためにこの自由について一定の制限が必要となります。日本では、この制限のことを「公共の福祉に反しない」という言い方をします。公共を国家としてしまうと全体主義に結びついてしまいますから、あくまで自分以外の人との関係と考えるのが妥当だと思います。
自由の制限として「人権や関係への配慮」が必要となります。日本でいうところの「公共の福祉」です。そしてそのバランスが上手く取れている社会が「政治と法の安定」ある社会なのだと思います。
「公正さ」はとても大切な視点です。でも自由があって初めて公正さが必要となるのであって、自由がないところには公正さは生まれないと思います。
日経の指標結果をみても、経済的自由度が低い国は、おしなべて政治法の安定性も人権・環境への配慮も低いことが分かります。
企業としても個人としても、自由と他者・環境への配慮とを意識的にバランスをとるよう求められる時代になってきたのだと思います。
未来が人類にとって明るい未来となるよう日々の言動が大事だと肝に銘じて今年もブログを続けていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いします。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)
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