下請法の締日による支払サイト

手形(約束手形)は、2026年に廃止される方向になっています。人を大切にする経営学会では、支払は現金であることを原則としています。

 現在使われている手形は、繊維業以外の場合は満期日の期限が120日となっており、支払期日に約束手形が降り出された場合150日程度になり、社外社員(取引先)に資金繰りを負担させるという弊害を伴い支払方法です。しかも、社外社員(取引先)がその期間内に資金を必要とした場合、手形を銀行に割り引きしてもらうため、いわば利息と割引手数料の負担を社外社員(取引先)が負うことになってしまいます。

 このような観点や、手形支払の件数が減ってきたことも合わせて、2026年に廃止をする見込みとなっています。

 また公正取引委員会は、手形の廃止前から、このような弊害を排除するため、手形においても、「おおむね3年以内を目途として可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内とすること」を要請しています(「手形等のサイトの短縮について」令和5年2月22日公正取引委員会)。

 現金払いの場合も同じですが、ここで注意をしなければならないのは、継続的取引の場合です。

 たとえば、継続的取引において、当月20日締め、翌月末日支払、というような約定を結んだり、21日に満期日翌月末日とする手形を振り出す場合があります。しかし、下請法の60日は、受領日から60日ということになります。

 したがって、このような場合、締日が当月20日とすると次のようなことになります。

たとえば、5月21日に受領した商品の締日は、6月20日となり、支払日(又は満期日)は7月31日となります。とすると、5月21日からは71日目となってしまい60日ルールに違反してしまいます。

 よって、締日を設定する場合は、締日から30日以内(前月が30日か31日かにより異なります)に設定をしなければならないということになります。

 人を大切にする経営学会では、締め後20日以内の現金による支払いを推奨しています。それでも前月21日納品の場合は、50日後ということになります。

 継続的取引の場合の締日設定の場合は、できるだけ短期間の支払をめざすことが社外社員(取引先)を大切にすることになります。

  (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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