No276 過去の受賞企業から ~第13回日本でいちばん大切にしたい会社大賞よ⑮~
今週は第13回の日本でいちばん大切にしたい会社大賞を受賞した26団体の中から印象に残った株式会社フジワラテクノアートさんのホームページをご紹介致します。
https://www.fujiwara-jp.com/
株式会社フジワラテクノアート(岡山県岡山市)さんの創業は1933年(昭和8年)、従業員数145名、主な事業は醸造機械・食品機械・バイオ関連機器の開発、設計、製造、販売です。
代表取締役社長は藤原恵子氏です。
●沿革
1933年06月 藤原研翁により岡山市富田町に藤原製作所を創立し醸造機械の製造を開始
1952年02月 藤原醸機産業株式会社と改名する。醸造機械の他に一般産業機械、食品機械の設計製作を開始
1967年06月 初めて醸造機械の海外輸出を行う(韓国)
1975年03月 第5回中小企業向「自動化機械開発賞」受賞(財団法人機械振興協会)
1977年06月 キューバ国へ醤油醸造プラント輸出。「食品冠桂賞」受賞(キューバ)
1981年10月 中華人民共和国(北京・広州)に日本として初めて醤油醸造プラント輸出し、感謝状を受領
1993年03月 株式会社フジワラテクノアートに社名変更
2000年11月 この百年間で食品業界の発展に著しい功績を挙げたことで日本食糧新聞社より「二十世紀食品産業発展賞」受賞
2016年01月 「おかやま子育て応援宣言企業」岡山県知事賞受賞
2018年09月 岡山県「おかやま健康づくりアワード2018」受賞
2022年04月 岡山大学大学院環境生命科学研究科にて寄付講座「微生物インダストリー講座」開設
2023年06月 創業90周年を迎える
●フジワラテクノアートの技術
・醸造家の感性、スキル(匠の技)を機械化・自動化する技術・・・日本酒づくりで言えば、杜氏が経験と感覚で行っていた各製造工程を醸造の基本原理に基づき忠実に実現すること。酒蔵特有の味や個性を保ちながら高い生産性を実現することができます。
・「微生物の力を産業化する技術」・・・その最初の入口は、日本酒、焼酎、味噌、醤油などの発酵食品に必要な麹を大量につくる製麹装置でした。その後、ファジー制御などを加え、麹づくりの完全無人化、大量生産を実現するなど、固体培養技術が飛躍的に向上。また、微生物への取組みは、画期的な粉体殺菌技術を生み出すなど、新たなビジネスへの可能性を広げる核心的技術となっています。
・「ソニックステラ」・・・粉体殺菌の常識を変えたソニックステラは加熱時間わずか0.2esで瞬間殺菌が可能な装置。ソニックノズル部を音速で流れ菌の細胞中の水を急激沸騰(気化)させて殺菌します。粉体の品質劣化を極小化しながら、確実な殺菌ができるシステムです。
●社員一人ひとりが自ら学び、成長できる環境づくりがあります
メンター・メンティ制度・・・新卒・中途ともに所属する部署の上司とは別に、年齢の近い先輩が新入社員や若手をサポートする制度です。メンターのみならずメンティーの「育成する力」も強化します。
社会人ドクター取得支援・・・社会人ドクターの取得を推奨しており、会社で資金負担も行っています。
奨学金返済支援制度・・・30歳未満の新入社員を対象として、入社後最長6年間15,000円/月が支給
ものづくり塾・・・業務上必要なものづくりや醸造の知識をベテラン社員から体系的に学べる塾です。基礎知識を効率的に学ぶことができ、自ら学ぶ意識の向上につなげます。
個人別5か年ビジョン設定・・・個人別に5年後のビジョン(=各人の担うべき役割)とそこに至るまでの成長計画を作成、各個人と上長が将来ビジョンを共有して、資格取得や実務経験蓄積を進めています。
社内インターンシップ制度・・・知識・スキル・視野を広げるため、一定期間、他部署の実務経験を積むことができる制度です。自己実現・成長を促し、社内が活性化されます。
●人事ポリシーが明確です
採用ページの中の人事ポリシーには“私たちは、一人ひとりが高い志を持ち個々の多様性を生かした強い組織力で、自らの使命を果たします。”と記載があります。
そして2000文字近くの言葉で説明があります。その説明の最後にこのような文章がありました。
“企業は、単に利益を求める集団ではありません。企業も地球のうえで生きている一員として世界の人たちから多くの恩恵を受けています。その分しっかりと役割を担わなければならないという使命と責任、それを実現することが社会貢献であり、企業活動の目的です。その目的をフジワラテクノアートの志で実現することが私たちの使命です。十年先、百年先まで、お客様や社会に対して私たちの使命と責任を果たしていく。そのために、明確なビジョンと戦略を描いて安定的に利益を確保し、企業としての体力を着実に高めることが、継続的な社会貢献の実現の前提となります。「醸造を原点とし、技術と感性を高め、世界中の人々がともに喜び合える感動に満ちた社会を実現する」 私たちは、経済的価値と社会的価値を両立させながら、その使命を果たすために真摯な努力を続けます。”
●最後に
株式会社フジワラテクノアートさんのホームページを拝見していると、長い歴史の中で培われたゆるぎない社風や落ち着き、存在感を隅々に感じることができます。
正しい経営が年月とともに醸し出す風格や風土は、まるで同社が日々取り組む麹などの微生物が持っている力と重なりました。
***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
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