「責任あるサプライチェーン等における人権尊重」④

前々回に引き続き、人権方針の策定についての中身を見ていきたいと思います。ここでもサントリーグループの人権方針を参考に確認します。

1.基本的な考え方
2.適用範囲
3.人権尊重の責任
4.人権デュー・ディリジェンス・救済
5.情報開示

6.対話・協議
7.教育・研修
8.責任者
9.人権における重点テーマ

 まず、「1.基本的な考え方」についてです。サントリーの「基本的な考え方」は、次のように定めています。

「サントリーグループは、社会の一員として、全ての事業活動における人権尊重の重要性を認識します。国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)を実行の枠組みとしてとらえ、事業活動を行うそれぞれの国または地域における関係法令を尊重し、国際規範を尊重するとともに、以下の国際的な人権原則を最大限に尊重するための方法を追求します。更に、国連グローバル・コンパクトの署名企業としてグローバル・コンパクト10原則を支持しています。

 ・国際連合(UN)「国際人権章典」

 ・経済協力開発機構(OECD)「多国籍企業行動指針」

 ・国際労働機関(ILO)「多国籍企業宣言」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」

 この点、経産省による「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」には次のように記載されています。

「人権尊重責任を果たしていく自社の姿勢を明確にし、社内外のステークホルダーの理解を得る観点等から、国際的に認められた人権を尊重する旨のコミットメント(約束)を表明することが考えられます。」「まず企業が尊重責任を負う「国際的に認められた人権」には、少なくとも国際人権章典で表明されたもの、及び「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に挙げられた基本的権利に関する原則が含まれます。」加えて、ビジネスにおける人権尊重は、「国際指導原則やOECD多国籍企業行動指針等が言及していることから、これらの国際文書への支持当を記載することも考えられます。」サントリーの人権方針には、まさにこのガイドラインに記載された内容が宣言されています。

 これらのコミットメントを検討する上で、社員との間で勉強会を開催し、改めて「国際人権章典」や「ILO宣言」の内容を確認することは、大きな学びになると思います。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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