就業規則は組織に従う
たまにお客様から「○○の件は、うちの就業規則のどこに書かれていますか?」と質問されることがあったり、また就業規則に書かれていないことを社内で実施してしまい、その結果、問題になるケースがあったりします。
どうも就業規則が会社に「馴染んでいない」感覚を持つことがよくあるのです。
よく見ると、多くの会社では厚労省などが出しているモデル就業規則を下に自社の就業規則を作っていたりするように見受けられます。
丁度、体型に合わない既製服を着ているような感じです。だぶついていたり、窮屈であったり、フィット感がないのです。
事業計画書や行動計画、行動指針やクレドなど会社には様々な様式の文書がありますが、その多くは毎年ブラッシュアップされ、会社に合ったものに変更しているのに、就業規則だけは、なぜかいつまで経っても「既製服」のままなのではないでしょうか。
会社には、その会社なりの風土があります。文化といってもいいかもしれません。その風土や文化により、社員の働き方等が異なってきます。つまり就業規則は、その会社の風土ないし文化に合せて修正する必要があると思うのです。
社員の少ない小さな会社は、あまり細かい規則は必要ありません。
一方で、社員が多くなっていくと自ずとルールの量は増えていきます。それが組織です。
また業態によっても異なります。製造業、運送業、接客サービス業など、ある程度集団で事業を行うことが不可欠な業態では、ルールは多くなります。一方で、IT、企画、クリエイター等の仕事は、ルールが少なく済む場合もあります。
さらに、会社は大きくなったり、分業化したりと組織の形態を変えていきます。
その職場、職場に合った就業規則が必要です。
はじめにルールがあるのではありません。はじめに会社、組織があるのです。
「就業規則は組織に従う」という観点で、時々は組織に合せて、就業規則もブラッシュアップしていく必要があるのです。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)
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