「心もち」を大切にする

いい会社に訪問させて頂くと、経営者の方がとても気安く社員一人一人に声がけをする場面を拝見します。

「おう、がんばってるか?」「体調はどうだ?」「お子さんの風邪は治ったかな?」社員一人一人の状態を見ながら声がけをします。社員に声がけをすると、その対応で社員の状況が分かるとおっしゃいます。体調が悪そうだとか、何か心配事がありそうだと敏感に感じられるというのです。この相手の対応を見て何かを察することにとてもたけている経営者がいらっしゃるのです。

 話は変りますが、保育の世界では、子どもの内面を推し量ろうとするときに、「心もち」を大切にするといわれています(倉橋惣三氏)。

 倉橋氏の著書には次のように書かれています(倉橋惣三著「育ての心」フレーベル館)。

「子どもは心もちに生きている。

 その心もちを汲んで呉れる人、

 その心もちに触れて呉れる人だけが、

 子どもにとって有り難い人、うれしい人である」

 この「心もち」に触れられると嬉しい、有り難いと感じるのは、子どもだけではありません。大人になってからも、言葉として伝えていないのに、他人から自分の「心もち」に触れてくれる、推し量ってくれる人に対して、有り難い、嬉しいと思うのだと思います。

 いい会社の経営者の方はこの「心もち」を大切にすることを実践されているのだと思います。

 なお、保育者が子どもの「心もち」を大切にするためには、保育者自身の心が何ものにもとらわれず、オープンであること、自由であることが必要だと言われています(津守真著「保育の現在―学びの友と語るー」萌文書林)。

 そう言われれば、日本でいちばん大切にしたい会社大賞を受賞された経営者の方々は、心がオープン、自由な方々ばかりだと改めて実感するのです。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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