【No305『会社の偏差値』著者;坂本光司;いい書籍紹介】

今回は2020年12月に出版された『会社の偏差値』をご紹介します。

『会社の偏差値 強くて愛される会社になるための100の指標』著者;坂本光司 (あさ出版;2021年6月発行)

本書は『日本でいちばん大切にしたい会社がわかる100の指標』(朝日新書2015年発行)を全面的に改訂し、新たな視点で書き上げたものです。
第1章から第5章まで各20項目あり合計で100項目になっています。

●章立て
はじめに
序章  大切なモノサシは会社の業績ではなく社員の幸せ
第1章 社員とその家族に関する指標
第2章 社外社員とその家族に関する指標
第3章 現在顧客と未来顧客に関する指標
第4章 地域住民や障がい者など社会的弱者に関する指標
第5章 盤石な経営に関する指標
あとがき

●序章より 大手企業の人事課長と名乗る男性からの壮絶なメール
“経営陣がやってはいけないことをやり、業績が大幅に低下してしまいました。このため、人事課長になったばかりの私に最初に指示された仕事は、社員のリストラでした。候補に挙がった社員さんたちにそれとなくヒアリングしたのですが、それぞれ誠実に仕事をしており、しかも家族がいる人たちばかりで、企業を辞めたい社員、やめてほしい社員はひとりもいませんでした。
結果として、期日までに上司にリストラのリストを出すことができませんでした。私は担当役員に呼び出され、3日間の猶予を与えるから改めて作成するよう、強く指示されました。その後の3日間は、会社にいても、自宅に帰っても、彼ら、彼女らの顔やその家族のことを思い浮かべると、ほとんど眠れませんでした。
指示された日に担当役員から呼び出され、ファイルを持参しました。それを見るなり役員は烈火のごとく怒り、『君は危険人物だ!』と罵られ、自宅待機を命じられました。ファイルにはたったひとりの名前しか書かなかったのです。そのひとりは、人事課長である自分の名前でした。今はその会社を辞めましたが、後悔はしていません”

序章より 就職活動中のある学生からのメール
“私は、就職人気企業ランキングで常に上位の、大企業数社から内定通知をいただいています。しかし先生の本を読むと、私が選び、内定通知をいただいた企業は、『いい会社』とはとてもいえない企業であることがわかりました。もう一度振り出しに戻り、規模やブランドに囚われずに企業を見てみることにしよう、真にいい企業を探して就職活動をやりなおそう、と考えています”

●最後に
この本の指標は、企業経営にかかわる人達や、これから社会にでる学生さんが会社選びをするときの基準となります。そして「人を大切にする経営学会」が主催する「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」が表彰する企業がどのような基準で選ばれているのか知ることができます。
2024年3月6日に発表された第14回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」では新たに30社が表彰されました。そして今回から内閣総理大臣賞が創設され、名実ともに国内における重要な表彰制度となりました。多くの企業や個人が、人を大切にする経営の存在を意識し、能動的に社会とかかわっていくことが求められている、そしてその活動にかかわることは人として自然な姿なのだと感じます。

***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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