日本の男女格差と向き合う
世界経済フォーラムが6月12日、今年のグローバル・ジェンダーギャップ・レポート(世界男女格差報告書)を発表しました。昨年146か国中125位の日本は、大きく躍進し?2024年は146か国中118位と7ポイントアップしました。
とはいえ、あいかわらずG7では最下位のままです。このジェンダーギャップ指数は、「経済」「教育」「健康」「政治」と4分野で評価されており、どの国も「教育」は比較的平等性が高いものの「政治」分野は世界的にみても男女格差が大きいです。
では企業にとって身近な「経済」はどうでしょうか。
この経済部門は、次の5つの基準で調査されています。
① 生産年齢人口(16歳異常の人口から高齢者や病気などの理由で働けない人を除いたもの)に占める労働人口のうちの男女比
② 企業・団体内で同一の仕事をしていれば、同一の賃金を支給するという考え方を元にはかる、男女間賃金格差
③ 各国のGDPの絶対的な大きさと、男女の賃金に対する女性の賃金の相対的格差を用いて推計される所得の格差
④ 管理職の男女の割合
⑤ 専門職の男女の割合
日本は、この「経済」部門においては、日本は146カ国中72位であり、かろうじて中間値となっています。
総務省によれば、2023(令和5)年の労働力調査によると、労働人口は男性3,696万人、女性3,051万人となっており、男性約51%、女性約49%と均衡しつつあります。しかし賃金格差は、2021(令和3)年のデータによると男性一般労働者の給与水準を100とした場合、女性一般労働者の給与水準は75.2とかなりの格差があります。OECD加盟国平均の男性100とした場合の女性の給与水準が88.4であることをみると、OECD加盟国の平均以下ということが分かります。(男女共同参画局)
また管理職についても2022(令和4)年のデータですが、女性の管理職比率は、12.9%と低くなっています。(なお、フランス45.2%、アメリカ41%、イギリス36.8%、ドイツ37.2%、これらの国の3分の1以下)なお、比率は係長級24.1%、課長級13.9%、部長級8.2%と上位の役職ほど割合は低くなっています。
ちなみに専門職比率はデータを見つけることができなかったのですが、2022(令和4)年の弁護士における男女比率は女性が19.6%と極めて少ない状況です。
NHK朝ドラ「虎の翼」をみると、現在の日本もそれほど昭和初期の日本と変っていないのだと実感します。当たり前と思われる日常生活にしみこんでしまっている男女格差の壁を「見える化」して一つ一つ克服していく必要があることを実感します。まずは自分自身の思考から見直さないと。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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