補い合う組織

人は生まれながらに、又は生まれた後の人生の中で、得手、不得手なものが必ず生じてきます。そして多くの場合、その不得手が生じる原因は、単に努力不足というわけではなく、自分の何らかの能力の影響から生じていると考えられます。

たとえば、私は、パソコンで字を打つこと、漢字の読み書きは一般的なレベルでできますが、筆記能力や誤字の発見能力、いわば識字能力が一般的なレベルよりも低いと感じています。小学生のころ、黒板の文字をノートに写し取ることもできていませんでした。

しかし今はパソコンがあります。また事務所では私の書いたものを確認してくれる職員が居てくれます。そのおかげで仕事上困ることはありません。

このように組織が補ってくれます。このことを心理学者のA・アドラーは次のように説明してくれます。

「社会を構成する人間を個別に見れば、能力はそれぞれで違っている。      しかし、正しく機能している社会では、個人の能力の足りない部分をお互いに補っているものだ。これは大切なことだ。                    なぜなら、そうしなければ、すべての人間が生まれ持った能力だけで判断されることになってしまうからだ。                          実際は、ある分野の能力が劣っていても、正しく機能する社会で生きているのなら、その不足を十分に補うことができる。」(A・アドラー「原典 生きるために大切なこと」桜田直美訳 方丈社)

 A・アドラーは社会の機能として述べていますが、この補い合うことは、組織、企業にとっても、とても大切なことだと思います。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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