高齢経営者の正常性バイアス

「正常性バイアス(normalcy bias)」は、心理学の用語です。社会心理学や災害心理学だけでなく、医療用語としても使われます。
人間が予期しない事態に対峙したとき、「ありえない」という先入観や偏見(バイアス)が働き、物事を正常の範囲だと自動的に認識する心の働き(メカニズム)を指します。一刻も早くその場を立ち去らなければならない非常事態であるにもかかわらず、“脳”の防御作用(=正常性バイアス)によってその認識が妨げられ、結果、生命の危険にさらされる状況を招きかねないのです。

現在、日本社会全体の高齢化に伴い、様々な「正常性バイアス(normalcy bias)」による問題が発生しています。  

自分だけは、事故を起こさない・・といった正常性バイアスがかかっていますが、実際、判断力、身体能力が衰えていないのを自覚していないのです。

甚大な被害を出した東日本大震災では、「大地震の混乱もあり、すぐに避難できなかった」「あれほど巨大な津波が来るとは想像できなかった」と思った人が数多くいらしたことが、のちの報道によって明らかになりました。大型防潮堤等の水防施設が設置されていたにも関わらず、迅速な避難行動が取れないといったことが起こったのです。

実際に、台風や大雨で数十年に一度の災害が起きる恐れが大きいとして、気象庁が2013~17年に計7回発表した「特別警報」。対象となった12道府県の307市町村に朝日新聞がアンケートでは、自治体が避難指示を出した地域の住民のうち、実際に避難所に逃げた割合は3%弱だったとのことです。

https://www.asahi.com/articles/ASL8R63DML8RUTIL04X.html

そのため、気象庁では、下記のような具体的なレベルを設定しています。

さて、日本の経営者の高齢化は、年々進んでいます。

そして、実際、TKCが保有しているデータでは、高齢経営者になるほど、赤字であることがわかっています。

もちろん、息子娘が会社を継がないといったこともありますが、高齢経営者自身は、退かないケースもあるのではないかと思います。

企業によっては、立派な後継者がいるにも関わらず、100歳近くになっても、まだ、社長といったケースもあります。、もちろん、健康であれば可能かもしれません。

しかし、正常性バイアスで、「俺は、まだできる」と思っていたとしても、後継者が育ったら、退くのが会社全体で見たらプラスの方が大きいのではないでしょうか?

坂本光司会長が、経営者の手帳の中で、述べている経営者の交代時期は、こうした企業にとって、とても重要ではないかと感じます。

1.起業家精神が萎えたとき
2.経営者の基本使命・役割が果たせなくなったとき (方向の明示、決断、社員のモチベーションアップ他)
3.二年連続赤字を出したとき
4.後継者が育ったとき

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