追悼
野口具秋です。
いとこが64歳で早くに旅立ちました。
舌癌を発症して転移が全身に進み、
2年間の闘病生活であったようです。
極端に無口な男で顔を合わせても、
ほとんど会話の記憶がないのです。
義理堅く、必ずことあるごとに顔を出しています。
隅で、もそりと座り、
いつもタバコをくわえていたのが思い出でです。
母の姉のこども兄弟は男ばかり4人です。4男でした。
井の頭沿線の隣駅に住でいたので、
小さいころから、行き来が盛んで楽しい思い出が沢山です。
いとこたちが相模原に移った後も、
いつもいる彼の部屋が居心地良かった。
2人でハイライトを吸いながら、
何時間も夜更けまで過ごしました。
決して無口ではありませんでした。
「忍ぶ会」で葬儀は執り行なわないので了解してほしい。
未亡人は輸血を拒否する宗派の熱心な信者です。
参列者の宗旨で黙とうや哀悼を手向けます。
穏やかではあるが、痩せて一回り以上細いのが
悲しい事実を教えてくれます。
胸元にタバコとマッチを忘れていません。
最後まで椅子に座ったままでした。
昭島に住むいとこの次男も7年前に64歳で先立ちました。
「具秋とゆっくりとことん呑もう」との
約束を果たないまま往きました。
今も次男の屈託ない笑顔がまぶたに浮かびます。
2年前、3男夫妻と一人娘の4人での
カナディアンロキィー思いで旅行の写真に、
元気な、武骨な、大男であったいとこの
はにかんだ笑顔を残しています。
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