2022年法改正の振り返り
2022年も残りあと1日となりました。
今年は、労働法制を中心に大きな改正がありました。
4月には、いわゆる「パワーハラスメント防止措置」について、これまで努力義務とされていたものが義務化されました。この改正を契機に、パワーハラスメントとは何か、セクシャルハラスメントとは何かを学ぶ機会が増えた1年だったと思います。
また有期雇用労働者の育児・休業取得の要件が緩和されました。これまで有期雇用労働者が育児休業・介護休業を取得できる要件のうち「当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」が削除されました。そのため、1年未満の者も取得が可能となりました。もっとも、労使協定の締結をすることによって引き続き1年未満の者を適用除外することは可能となっていますので、多くの会社では、長期雇用されている社員とのバランスをとるため、労使協定を締結して、1年未満は適用しない方向のままとしている傾向が続いています。
さらに、育児休業等の個別周知の措置義務として、本人または配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対し、個別に制度の周知や意向確認を行う等の措置を講ずることが義務化されました。
10月には、短時間労働者を適用対象とする健康保険・厚生年金保険の適用拡大が行われました。これまで従業員数501人以上とされていましたが、従業員数101人以上に引き上げられました。健康保険・厚生年金の資金不足などの影響から、将来的には今後も改正がなされる可能性が高いことを皆さん実感されたかと思います。
次に、重要な改正として、男性の育児休業取得を促進するため、出生後8週間以内で合計28日を限度とする出生時育児休業が創設、施行されました。妊婦の出生直後の負担を和らげ、出産後の大変な時期を夫婦が協力し合って育児に専念できるようにした制度です。
なお、2023(来年)4月からは、中小企業に対する割増賃金率の適用猶予措置が廃止となります。月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率について、中小企業に対してはこれまで引き上げを猶予されていましたが、割増賃金率が引き上げられます。ご注意ください。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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