昨今の企業の値上げについて考える

先日、6月13日(木)の午後3時を少し回った頃、

いつも郵便物の発送をお願いしている

特定郵便局の局長さんか電話がかかってきました。

郵便局長とは先代からのお付き合いで古くからよく知っていますが、

電話がかけてくる事はめったにありません。

「郵便局長さんからお電話です」と言って取りつがれ、

何だろうと思いながら電話に出ました。

電話での第一声は

「先ほど、15時に正式に報道発表がありました。

今年の10月から郵便料金が値上げになります」

「本当にすみません」「申し訳ございません」

と何度もお詫びの言葉を繰り返されていました。

「料金の改定は日本郵政の問題で局長さんの責任ではないじゃないですか」

「そんなにお詫びをされても困ります」

と言いながら電話をお切りしました。

電話を切ってから30分位たったのち、

その日はちょうど郵便局に用事があったので、

あらためて出かけてみると、

カウンター越しから電話でお詫びをしている局長さんの声が聞こえてきました。

 「どうもすみません…」

郵便局長は、さっき私にかけてくれた電話を次々にしていました。

なぜ、ここまで局長がするのかという事に驚きました。

しかし、振り返って考えると、先ほどの電話がなかったらどうなるのか?

局長が他人事のように料金値上げの事を話したらどうなったでしょうか?

例えば、

「郵政が値上げするらしいですね」、「今後もますます郵便が減りますね」

と他人事のように話をされれば、

私は同情する事も相手の立場を理解する事もなかったと思います。

ニュースによると、2001年から2022年の約20年間で

郵便の取り扱い数は45%減ったといいます。

郵便料金の値上げは30年ぶりだという事です。

集配効率が悪くなれば、1件当たりコストは上昇するのは当然です。

日本郵政は今回の値上げによって、

来期は黒字になってもその先は再び赤字になるとも予測しています。

ユーザー(顧客)の立場であれば、値上げはして欲しくないのです。

しかし、売る側になれば値上げをしなければ存続できないという

状況があれば納得できます。

ただし、それなりの企業努力が求められるのは当然です。

最近、大手企業が軒並み原材料価格や人件費の高騰を理由に

価格の値上げに踏み切っています。

しかし、決算発表では、過去最高の利益などというニュースも飛び込んできます。

中小・零細企業などの小売りや飲食業界の値上げは、10円、20円でも慎重です。

ちょっとの値上げで客足が減ってしまいます。

仕入れが上がったので利益を、今までどおり確保しようとすれば、

仕入れの値上げ分を販売価格に転嫁すればよいという

経営なら小学校の算数問題です。誰でも経営ができる事になります。

中小企業は、元請け会社やエンドユーザーの顔色を見ながら

仕事をしなければなりません。

さらにその最前線に立っているのが、現場で働く社員であり、

窓口や接客を担当する社員である事を忘れてはならないと思います。

もし、当社が、多くの利益を出し続けて、

社長も社員もぬるま湯のような仕事をしていれば、

お客様にきっと見抜かれてしまうでしょう。

値上げは、そもそも、社員の命と生活を守る最終手段であるべきだと思います。

経営者も社員も本当に真剣みのある経営が求められているのではないでしょうか。

「あなたたちも大変ですね。頑張って!」

とエールを送られるような仕事をしていきたいと思います。

今週も頑張ります。

                    石川 勝

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