拓新産業(福岡市)

3つの投稿から。

法政大学大学院 坂本 光司ゼミの学ばせていただいている、後輩の神原 哲也さんの投稿から。

今日(11月8日)は、中小企業診断協会の「中小企業経営診断シンポジウム」に行ってきた。全国の中小企業診断士14人が論文、調査・研究成果を発表した。診断士のツールでは「知的資産経営支援実践マニュアル」「事業承継支援ノート」の開発が発表された。

 また3つの論文発表を聞いたが、京都府中小企業診断協会の石井規雄氏の「社会価値の創出と持続可能な経営モデルへの変革」という論文が特に興味深かった。クライアントの「茅葺き屋根工事業」を「心のふるさと提供業」に再定義、社会的価値を優先して自社の事業を点検して、自社の使命と事業を見直して、経営革新を進展させていた。

 ここでは、拓新産業(福岡市)の藤河次宏代表取締役による基調講演について丁寧にお伝えする。同社は足場など建設現場の機材を建設会社に提供している。2016年には「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞を受賞した。

 同社の採用は新卒だけ。1年で2-3人しか採用しない(従業員数75人)。福岡市の都心から1時間以上かかる。だがピーク時で400人が応募、2017年も100人以上が応募するほど人気がある。高校の進路指導担当はみんな同社を一押しするのだそうだ。

 なぜか。働きやすいからだ。具体的には残業ゼロ。完全週休2日、有給休暇取得率100%、だそうだ。30年かけて働きやすい職場環境の整備に取り組んできた。
 そのきっかけは、福岡県中小企業家同友会の合同企業説明会に参加したところ、学生が誰も自社のブースに座ってくれなかった、という悔しい思いをしたことだ。
 そこでそれまであまり意識しなかった労働基準法を守る、ことから始めた。就業規則を見直し、完全週休二日、有給休暇100%を宣言した。

 これらを実現するため、そのひとが休んだら仕事が回らないということがないようマルチタスクに取り組んだ。また取引先を増やして1社当たりの依存度を引き下げ、「働き方改革」に協力してくれない建設会社には値上げを提示、取引しないようにした。

 公共工事が減少するなか、売り上げを増やすよりコストを下げることに力を入れてきた。お客の要求はコストがかかる。時間指定の配送を断り、自社にない機材の提供は断り、接待交際費を使わない。だから中洲には20年以上行ったことがない。

 また、会社を辞めるのは人間関係が良くないためだと考えて、委員会活動やサークル活動に力を入れている。サークル活動は学生の時はあったのに社会人になったらなくなるのはさびしいが、サークルがあれば仲良くできる、といった話が続いた。

同じく後輩のプレゼンの淑女、本田 佳代子さんの去年の3月28日の投稿から。

拓新産業株式会社さんが、先日の「第6回日本でいちばん大切にしたい会社大賞 審査委員会特別賞」を受賞されました。たまたま「2015年度 中小企業白書」を読んでいたら、事例として掲載されていました。経営方針にブレがなく、社外からの圧にも屈することなく、一貫性を保持しており、一貫性の大切さを痛感しました。以下に白書を抜粋いたします。

事例2-2-5. 拓新産業株式会社

「会社の全員で作り出す“理想の労務環境”
完全週休二日・有給取得率90%・一人当たり年間残業時間2時間」

 福岡県福岡市の拓新産業株式会社 (従業員75名、資本金4,500万円)は、建設機材のレンタル業を営む企業である。人材の確保が難しい業界において、同社は徹底した働きやすい労務環境(完全週休二日・有給取得率90%・一人当たり年間残業時間2時間等)を整備することで、多くの人材をひきつけ、新卒採用の競争倍率は100倍を超えることもある。

 同社が労務環境の整備に取り組みはじめたのは25年前に遡る。今でこそ人気の高い同社であるが、当時は大学生の新卒採用を試みるも、一人として採用することができなかった。良い人材を確保するためには、少人数で経営を支えるため土日勤務や長時間労働が当たり前であった状況を見直すことで、働きやすい環境を整備することが必要であることを痛感し、徹底した労務環境の改善を始めた。

 まず藤河社長が実施したのが、従業員の休暇取得の推進である。完全週休二日制を掲げ、土日休みを実現した。さらに、有給休暇を計画的に取得することを従業員に推奨した。当初はなかなか休暇の取得が進まなかったが、社長自らが定期的な休暇未取得者の発表をし、休暇取得予定を組んでいない従業員には休暇日を指定することで、4年程度で有給休暇取得を定着させ、現在では従業員の有給取得率が90%となっている。

 休暇取得推進の次に取り組んだのが残業時間の削減であった。初めは水曜日のみをノー残業デーとして設定したが、従業員の間で残業時間を削減する工夫が浸透するにつれて、その範囲を拡大していき、約2年後にはノー残業の仕事スタイルが定着した。今では一人当たりの年間の平均残業時間が2時間となっている。

 こうした労務環境の改善を進めるには、社内改革のみならず、社外への説明責任も伴い、中には、休日に対応できないことを不満に感じ、取引を解消する企業もあった。しかし、企業として目先の売上向上を目指すだけではなく、従業員が気持ちよく働ける労務環境の改善を経営方針として優先した。さらに、社員が休暇を取ることが理由で業務が停滞しないよう、定期的に人事異動を行い、各従業員が複数の業務を担当できる状態を作りだし、休暇の際に他の従業員が代わりに業務を行う体制が整っている。

 一方で、同社では、勤務時間が限定されている中で、企業としての収益性を確保するために、徹底したコスト削減を実施している。自社HP作成、従業員の研修の実施等を社内の人材で賄うとともに、フロアの蛍光灯やエアコンの電源、交際費の管理にはそれぞれ担当を配置し、従業員が主体的にコスト意識を持ち、コスト削減を行う仕組みを構築している。その結果、同社は働きやすい労務環境を提供するだけではなく、同時に高い収益性を確保している。

 同社の藤河社長は、「弊社は事業を拡大するより、従業員が安心して働ける環境を作ることを重視している。労務環境の改善を第一に考え、事業規模は現状を維持しながらも、コスト削減により、収益力を維持する経営を志している。今後も中小企業であり続けるが、一流の中小企業になろうとしている。」と語る。

 働きやすい労働環境とは、必ずしも会社から与えられるものではなく、従業員一人一人が主体的に行動することで実現されるものであることを教えてくれる。

私の去年、3月20日の投稿。

23日(水)に法政大学で開催される「第6回 日本でいちばん大切にしたい会社大賞」に満員になるお申し込みをいただき改めて感謝したい。
受賞企業18社の紹介、16社目。

当社の社風を語る上で、もっとも大きなポイントとなっているのが
「経営計画書の公開」です。
企業にとって経営計画書は今後の行く末を示す羅針盤のようなもの。
通常、経営者とそれに近い人だけにしか公開されない経営計画書を、社員たちにもオープンにしているのには、もちろんそれなりのわけがあります。
企業は「夢」を実現する場所です。
夢が現実味を帯び始めると「願望」になり、さらに具体化すれば
「目標」となります。
日常の仕事に目標を持って意欲的に取り組んでもらうためには、
まず会社の進む方向をしっかりと示さなければなりません。
毎年1回開催される“経営計画発表会”は、そのための場です。
社員同士が、会社の成長と自分自身の生活向上の具体的なイメージを
共有できれば、そこに連帯感と目標意識が芽生えます。
企業と社員が、そして社員同士が、同じ夢を追い求めていくために、
拓新産業はガラス張りの経営を実践しています。

審査委員会特別賞
拓新産業株式会社
福岡県福岡市
経営者・代表取締役:藤河次宏
主事業:建設資材のリース 従業員数:57名
創業・設立:1977年

受賞理由
 1)ガラス張り経営
 2)正社員比率81.5%
 3)利益率は安定的に10%前後
 4)過去5年間で社員数は49名から57名、売上高は6.1億から8.1億
 5)社員一人当たり月間所定外労働時間9時間程度
 6)障がい者雇用率8.8%、障がい者の正社員比率は80%
 7)年間休日は123日

福岡県内では2番目に「子育て応援宣言企業」となるなど、働きやすい職場づくりの実践を進めている。
その結果、福岡中心地から1時間程度離れた場所にあるにもかかわらず、多くの入社希望者が殺到している。
また全社員へ経営計画書を公開する等、ガラス張り経営が徹底され、理念・ビジョンの共有化が図られている。

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