トップと社員との対話の重要性を思う

「卵が先か鶏が先か」という言葉がある。
卵がなければ鶏が生まれないし、鶏がいなければ卵も生まれない。
だから最初はどちらだったのか。
というように、見方によりどちらともいえるので
結論が出ないことを示す時に度々用いられる。

先日訪問した東京で化粧品の製造販売を行う会社の社長からも、
社員に主体性・当事者意識をいかに持たせるかということで、
こんな話を聞いた。

社員が主体性や当事者意識を持てるかどうかは、
本人に意欲・意志があるかどうか次第だと思う。

いくら朝礼で思いを語っても、
いくら研修で情報を与えたとしても、
一人ひとりの社員にそれを受け入れる姿勢がないなら、
砂に水を撒くのと同じで、まったく効果は発揮されない。
意欲や意志のない社員にいくら情報を与えても、どうにもならない。

ただ、卵と鶏の話ではないが、その一方で何も語らなければ、
自分の思いは社員の心にまったく伝わらない。
それならば、どちらが先かと言えば、社長としての、自分の思いを
語ることが先だと思う。

朝礼での自分の思いや研修で得た情報を、社員にきちんと
受け止めてもらいたい。
主体性・当事者意識を社員に持ってもらいたい。
そのために、会社で毎週月曜日に30分~1時間の朝礼を行って、
そのなかで、常にビジョンを語る。とにかく語るようにしている。

とにかくまず、自分自身の思いを伝え、
また会社が大切にしていることや目指している方向を理解してもらい、
共感してもらい、一緒に汗をかくことをいとわないとまで
思ってもらえるように徹底して、自分の想いを語り続ける。

さらに朝礼以外の場でも、
食事をしながら、
あるときは車で移動しながら、また社長室などで、
自分の方から、社員の仕事面だったり、
プライベート面だったり、あらゆることに関して、
腹を割って話し合っている。

この社員との対話においては、
社員たちが、自分の仕事や考えていることを話すように
仕向けている。
そうすることで、社員一人ひとりが、主体的に
「自分の成すべきことが何か」に気づき、
考えるようになると信じているからである。
また、その人たちに本音で話してもらうために、
自分も本気で語りかけ、1対1、face to faceで
話をすることを心がけている。

お互いがすべてをさらけ出すことで、お互いの思い・仕事が理解でき、
相手を尊重するようになる。
自分の思いを知ってくれている、仕事を見てくれていると感じれば、
社員の責任感が増し、仕事やそれ以外の面でも主体性や当事者意識が
発揮されるようになる。

自分の思いが社員一人ひとりに届かないと、
社員が主体性を発揮することができないし、
また会社も平行稼働しない。
そのためにも、社員に主体性・当事者意識を持たせるためには、
価値観や意識をすり合わせるため、自分の思いを語り、
お互いが腹を割って話し合う対話が極めて重要になることを
気づかせてくれた。

人を大切にする経営学会 事務局支援スタッフ 坂本洋介

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