人間らしさの追求~松江 豊春(板東俘虜収容所所長)

人を大切にする経営~松江豊寿(板東俘虜収容所所長)

福島県立会津高等学校出身の2名の経営者の企業が、日本でいちばん大切にしたい会社大賞を受賞しています。社会福祉法人アンサンブル会の理事長、小椋 年男 氏(第6回実行委員長賞)と、株式会社東邦銀行の代表取締役頭取、北村 清士氏(第8回実行委員会特別賞)です。

ところで、会津の先輩に松江 豊寿(1872~1956) という人がいます。第1次世界大戦で、日本軍の捕虜となったドイツ人約1000人が、四国の徳島県鳴門市、板東俘虜収容所に収容されました。その所長が松江豊寿です。松江豊寿は、捕虜を敗者として侮蔑的に扱うのではなく、武士の情けといって、彼らが人間らしく生きることを追求した人でした。捕虜収容所という常識的なイメージからはかけ離れて、いわば、人を大切にした経営を実践しました。

       

具体的には、収容所内での音楽や演劇の奨励、ドイツ人のパン屋やソーセージ店、理髪店などの商売の奨励、飲酒の許可等に及びました。

板東捕虜収容所のあり様を許すことはできない陸軍本部は、捕虜への食糧の配給をストップする命令を出しました。餓死しろ、ということです。これに対して、松江豊寿は、畑を開墾して自給自足することで問題を解決し、ドイツ人の命をつなぎました。畑づくりには、村の日本人たちも協力しました。以前から捕虜を村への外出許可を出していて、村人と交流があり、収容所と村人との間には協力しやすい人間関係が出来上がっていたのです。

終戦になり、ドイツ人は帰国することになりました。その際、捕虜たちは松江豊寿への感謝の気持ちの表れとして、ベートーベンの交響曲第9を合奏、合唱したそうです。ドイツでは、恩人として松江豊寿氏は尊敬されているそうです。日本では、邦画「バルトの楽園」として映画化されました。

坂本光司教授は授業でよく次の言葉を述べました。「涙の数だけ、人は優しくなれる」です。松江豊寿の出身は、福島県会津若松市。戊辰戦争で敗れた会津藩士は、青森県、斗南藩へ強制移住を余儀なくされ、極寒の地で食べるものがなく、木の根をかじって生きる過酷な環境下、多くの餓死者を出したそうです。生き残った豊寿の父は、息子に、人間らしさの追求を、常々説いたといいます。

ドイツ人に取った松江豊寿の言動の原点は、会津藩が賊軍の汚名を着せられ、過酷な逆境の中で耐えた、魂の叫びのDNAだったようです。戦後は、会津若松市の第9代若松市長として、水道を整備して腸チフスで苦しむ民を救済したり、白虎隊の墓の整備に尽力したそうです。

    

かねてより、会津高校出身者が2名も大賞を受賞していることは、何か風土面で関連があると感じていました。松江豊寿を知ってより一層、その思いは強くなりました。会津藩が舐めた辛酸は、子孫が、人を大切にする経営として、花開く根っことなっていたのではないでしょうか。

<社会福祉法人 アンサンブル会>         

◎代表者:小椋年男理事長 
◎主事業:障がい者支援の多機能施設の運営   
◎従業員数:80名
◎創業・設立:2001年
◎所在地:長野県伊那

◎受賞理由
・300名以上の障がい者の就労支援
・利用者の工賃は通常の2倍以上、社員の賃金も業界の1.5倍以上
・障がい者雇用率5.0%
・社員数は5年間で38名から80名
・利益率は安定して10%前後
・一人当たりの月間所定外労働時間3時間程度
・離職率0.4%
・小椋さんの長女の卒業に合わせ「親亡き後」の一心で仲間とスタート
・正社員比率80%
・女性管理職比率38%

<株式会社 東邦銀行>

◎代表者:取締役頭取 北村清士 
◎主事業:金融業   
◎社員数:3,210名
◎設立年:1941年
◎所在地:福島県福島市

◎受賞理由
・東日本大震災の折、証明書を亡くした預金者に希望する金額を払い続けた経営姿勢は、関係者から高く評価されている

・金融機関という難しい業界にあって、働き方改革に積極的に取り組んでおり、社員1人当たり月間所定外労働時間は、平成27年に比べ約35%減少している

・休業期間3年で分割取得回数制限なしの介護休業や、期間3年の育児休業、さらには、復職支援セミナーや事業所内保育施設の開設(3か所)等、介護や育児のための支援制度の充実は傾注に値する

・近年の離職率は0.9%と極めて低い

※参考サイト 
◎会津若松市HP
http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/j/rekishi/jinbutsu/jin01.htm
◎テレビ東京 世界ナゼそこに?日本人〜知られざる波瀾万丈伝〜

人を大切にする経営学会 東北支部 本田佳世子

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