骨肉の争い-オーナー会社の相続対策

骨肉の争い-オーナー会社の相続対策

「長男に会社を承継したい。長女次男は長男に協力するだろう。
遺言なんて作ればかえって子ども達は嫌な思いをするだろう。」
とついつい考えがちです。しかし、もし万一親族間でもめれば、
会社の経営に大きく影響することもあります。

▼骨肉の争い=兄弟喧嘩
お父さんが亡くなっても、お母さんがご存命であれば、
実際に、それ程相続でもめることは少ないです。
しかし、親が二人とも亡くなってしまうとそうもいきません。
遺産分割でもめるのは、ほとんどが兄弟間です。
親から見れば、子ども達は、平等に公平に育ててきたし、
兄弟の仲がいいから、心配ないだろう、と思います。
しかし、親が思っている家族の歴史と、
兄弟同士が見る家族の歴史はズレがあったりします。
「お姉ちゃんは、子どもの頃、いつも新しい服を
買ってもらっていたけど、私はお古ばっかりだった。」
「お兄ちゃんは、水泳選手になるといって高校生の頃に
アメリカに留学したのに、結局ものにならなかった。」
「お前は、一度きりだからと、結婚式を無駄に豪勢にして、
親に金を出してもらったじゃないか。」
テレビドラマに出てくるようなこんなセリフが現実となります。
兄弟の親に対する思いや嫉妬、そこに兄弟の配偶者の意見などが
入ってくると本人同士で話し合うことはできなくなります。
承継者である兄が困ろうが、関係なく法定相続分の
請求をしてきたりします。

▼相続権を放棄させることはできない
それならば、子ども達に相続権を放棄させればいいのではないか、
と思いますが、相続権は放棄させることはできません。
(後で述べる遺留分は放棄できます)

▼寄与はあまり考慮されない
 承継者である兄は、
「お父さんが生きている時から、会社を承継してきたのだから、
他の兄弟よりも相続分が多くて当たり前だ」と思うものです。
これは法律的には、「寄与分」と呼ばれています。
しかし、この寄与分は、一般的に想像しているより、
裁判所の評価ははるかに金銭的に低く、
ほとんど認められないのが実情です。

▼遺言+遺留分放棄
どんなに子どもを信頼していても、子ども達のために遺言を
作っておくことは、とても大切です。
しかし遺言を作って全ての財産を長男に相続させようと思っても、
法定相続人には遺留分(本人の法定相続分の2分の1)があり、
遺言を作っても遺留分の請求は排除できません。
そこで、事業承継のように、子どもの一人に株式等多くの
遺産を相続させようと思っている場合は、遺言だけでなく、
他の子ども達に遺留分の放棄をしてもらうことが必要となります。
生前に子ども達に、自分の死後の遺産について話をし、
承継させたい子ども以外の子ども達には、生前に一定の金銭を
贈与するなどして、本人に遺留分を放棄してもらいます。
なお、遺留分の放棄は、本人が家庭裁判所に申立てないと
できませんので、本人の納得が必要です。
そのために生前贈与等をすることが多いです。
遺産を引き継がない子ども達が、遺留分の放棄に応じてくれれば、
安心して遺産を次世代に引き継ぐことができます。
                                  
(金曜日担当 法務研究部会 弁護士山田勝彦)

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