有給休暇の時間取得~法律の規定の限界

有給休暇の時間取得~法律の規定の限界

ご承知のとおり、有給休暇は時間単位で取得することができます。
しかし、時間単位で取得するためには、労使協定が必要であり、
時間単位に振り分けられる有給休暇は、5日が限度とされています。
社員(労働者)にとって便利に見える時間単位の有給休暇の取得に
なぜ労使協定が必要なのか?なぜ5日なのか?疑問のあるところです。

▼有給休暇制度とは
有給休暇制度とは、労働者の心身の疲労を回復させ、
労働力の維持培養を図るとともに、
ゆとりある生活の実現にも質するという趣旨で作られた制度です。
そのため「まとまった日数の休暇を取得する」ことを目指しています。
それに対して、時間単位の有給休暇は「まとまった日数の休暇」
にならないので、制度の趣旨に反することになります。
時間単位の有給休暇は、
「年次有給休暇については、取得率が五割を下回る水準で
推移しており、その取得の促進が課題となっている一方、
現行の日単位による取得のほかに、時間単位による取得の
希望も見られるため」
「仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に
活用できるようにすることを目的」
として取れるようにしたとされています。

▼制度の趣旨と現実的な必要性
 しかし、あくまで年次有給休暇は
「まとまった日数の休暇を取得する」ことが主たる目的なので、
時間単位を認めるとしても5日以内と決められました。
すべての有給休暇を時間単位にしてしまうと労働者の心身の疲労の回復、
労働力の維持培養とならないからです。
また、労使協定においては、時間単位を取れる労働者の範囲を決められる
こととなっていますが、これは一斉に作業をするような業務のように、
事業の正常な運営との調整を図る必要があるからとされています。

▼法律の限界
法律によれば、分単位の有給休暇は取れません。
社員によっては、休憩時間では足りないが、
ちょっと30分くらい買い物に出たい、という時でも
1時間の有給をとらなければならなくなります。
また残業0時代を目指すこれからの社会に、
果たして時間単位の有給休暇を5日以内に限る必要があるのかも疑問です。
 「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養」
の方法は働き方改革によって、より多様になっていくと思います。
有給休暇の取り方についても、法律の硬直的な規定では
時代に合わなくなってきているのではないでしょうか。

(金曜日 学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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