▼勤務間インターバル制度導入

▼勤務間インターバル制度導入

今回の働き方改革で、勤務間インターバル制度の導入努力義務の
規定が盛り込まれました。前日の終業時間から当日の始業時間
までの間に一定のインターバルを設定するというものです。
月間残業時間10時間未満を達成しているいい会社では、
そもそも必要のない制度と言わざるを得ません。

▼法律は妥協の産物
本年12月4日、厚労省の有識者検討会が休憩時間を
「8~12時間」と例示するなどとした報告書が出されました。
「8時間~」というのは異常です。前日午後11時に終業し、
翌朝7時始業ということになります。
そもそも厚労省が設定した助成制度では、
9時~11時間未満の新設に40万、
11時間以上であれば50万としていたにも拘らず、
8時間~との例示になりました(助成制度申請期限は12月3日締切)。
この点、厚労省は一定の幅を持たせたことについて、
「望ましい時間数を一律に決めることで(各企業の)労使の取り組みの
工夫を規制してしまってはいけない」ということだそうです。
そもそもインターバル制度を導入しているEUの基準は11時間です。
努力義務であり、罰則もないのになぜ11時間以上としないのでしょうか。
法律がいかに妥協の産物かがわかります。

▼何が「正しいか」で判断する
人手不足の中、受注を断れば企業の存続する難しい
中小・零細企業であれば、どうしても残業がかさんでしまうことも
やむを得ないかもしれません。
しかし、いい会社は絶えず努力し、労働環境の改善を繰り返してきました。
京都のHILLTOP株式会社は、日中に社員がデータを入力し、
夜間に工作機械が稼働し、朝には製品が完成する「ヒルトップ・システム」
を構築しました。いわば無人の鉄工所です。
当然に残業時間は圧倒的に減少したはずです。
どうしても残業に頼らざるを得ない業態でも、創意工夫をし、
まずインターバル時間11時間を目標とし、
次には月間残業時間10時間をめざす。
そんな企業をこれからも応援していきたいと思います。
 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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