社会福祉法人こころみ学園(有限会社ココ・ファーム・ワイナリー)【No61いい会社視察2012/6/22、2015/8/31】

今回は2012年、2015年に坂本ゼミとしてご訪問した『こころみ学園とココ・ファーム・ワイナリー』さんをご紹介致します。2回ともにこころみ学園の事務局長であり、ココ・ファーム・ワイナリーの総合事業部長でもある笹井正治氏にお話を伺いました。(役職は2012年のお名刺より)

●概要
名称  社会福祉法人 こころみる会
住所  栃木県足利市田島町616
設立  1969年(昭和44年)
従業員数  123名
代表者  理事長 池上 知恵子
事業内容
・障害者支援施設『こころみ学園』(施設入所支援90名・生活介護105名・短期入所10名)
・多機能型事務所(生活介護・就労継続支援B型)『あかまつ作業所』(生活介護10名・就労継続支援B型10名)
・共同生活援助事業所『あけぼの荘・三井荘・うちこし荘・あさひ荘・たじま荘・もちぶね荘・小松荘』(7ホーム30名)
・相談支援事業所『こころみ』(特定および障害児相談支援事業)

●概要
名称  有限会社ココ・ファーム・ワイナリー
住所  栃木県足利市田島町611
設立  1980年(昭和55年)2月19日
従業員数 31名
事業内容  ワイン製造販売
最初のヴィンテージ  1984年
役員  代表取締役 長谷川 翼、専務取締役 池上知恵子、取締役 ブルース・ガットラヴ、取締役 古澤 巌、取締役 越知眞智子、取締役 池上峻
資本金 4,000万円
主な受賞
・2002年 第1回 渋沢栄一賞
・2006年 第1回 ソーシャル・ビジネス・アワード ソーシャル・ベンチャー・ビジネス賞
・2019年 第9回 日本でいちばん大切にしたい会社大賞審査委員会特別賞

同社のワインは、2000年の九州・沖縄サミットの晩餐会や2008年の北海島洞爺湖サミットの首相夫人主催の夕食会で使用され、JALの国際線ファーストクラスでも採用されるほど価値あるワインとなっています。

●中学校の特殊学級の生徒たちから始まった開墾
  
1958年、中学校の特殊学級の先生であった川田昇氏が、生徒たちと山林をブドウ畑として開墾したことが始まりです。
“この子たちに格好良いことをさせたい”、
斜面の平均勾配は38度。現在在籍している70才くらいの人達が開墾しました。

●有限会社ココ・ファーム・ワイナリー設立のきっかけは税務署の指摘から
1969年、川田昇氏が中学校の教員を辞め「こころみ学園」開園。初代園長として就任されます。
1980年、有限会社ココ・ファーム・ワイナリー設立。(資本金2000万円)
当初は「こころみ学園」としてワイン作りを目指しましたが、税務署から『補助金対象であるこころみ学園が、酒税を納めることになることは問題』と指摘され酒造免許を断念。
しかし父兄の賛同をえて有限会社樺崎産業(のちのココ・ファーム・ワイナリー)を設立し、酒造免許を取得。1980年にワイン作りが開始されました。

●こころみ学園の取り組み
主な活動はブドウ栽培とシイタケ栽培です。
・ブドウはワイン用に4種類あります。
山の斜面でのぶどう栽培は想像以上に苛酷な作業です。夏場の草むしりはきりがない作業と言い、多くの手仕事や汗の結晶の象徴です。
同社では16万本のワインを生産していますが、約3万本は急斜面を中心とした足利市で栽培したぶどうを使用しています。そのほかは全国の契約農家に生産を委託しています。
・シイタケを1万本栽培しています。
くぬぎ原木を切って運び、菌を入れ、原木に刺激を与えるなどの作業をしています。数年前は10万本でしたが、東日本大震災による福島原発の放射線汚染のために出荷停止を余儀なくされました。

●有限会社ココ・ファーム・ワイナリーの取り組み
こころみ学園で栽培したブドウとシイタケを商品化して販売する部門です。
ワイン作りはここから始まります。ワインになるまでには長い工程があります。ホームページにはワインつくりに関することや、一般のワインメーカーであれば公表していないような酸化防止剤に関する情報など記載されていて同社の誠実な姿勢が伝わり共感を覚えます。
売上は5~6億円。その内ワインが占める売上は60%です。

●恒例イベント“収穫祭”
毎年開催される収穫祭には2万人もの来場があります。2018年の時点では35回目。収穫祭は関わる人達がゼロから育てたイベントです。

●障がい者の活躍する例
・ワインの検品 コルクを圧縮して栓を閉める製造ライン工場。コルクのカスが中に入ってしまう場合がありますが、ある障がい者はその研ぎ澄まされた視覚でワインに混入されたコルクに気づくのです。
・洗濯をお仕事として担うある障がい者は、約100人分の洗濯ものを、誰一人間違わずに本人に渡すのです。名前は書いてあるものの間違えない正確さを誇っています。
恐らく私たちの想像を超える能力を多くの皆さんが日常に発揮している、そんな質感を感じたご訪問でした。

●その他
ご訪問当時、障がい者の皆さんの平均年齢は52才、最高齢92才。
入所者への給与はありません。障がいの重い人には法律上給与を出せないとのことでした。しかし給与ではなく別な形でこたえているということです。
B型の人へは“最近少なくなった”といいつつも全国平均より多く、月に2~3万円の工賃となっていました。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です