働き方改革と就業規則⑯

働き方改革と就業規則⑯

▼働き方改革と副業
国は、今回の働き方改革において副業・兼業を
積極的に認める政策をとりました。
厚労省の副業・兼業の促進に関するガイドラインでは、
本来労働時間以外の時間を労働者がどのように利用するのかは
自由であり、企業はみだりに制約できないという裁判例を
引き合いに出し、原則副業・兼業を認めるよう
努力すべきであるとしています。
そして、平成29年の厚労省のモデル就業規則案では、
「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」としていたのですが、
働き方改革を反映した翌年平成30年のモデル就業規則案では、
次のように前年と全く正反対の規定をわざわざ第14章として、
章立てしてまで規定しました。
「第〇条(副業・兼業) 労働者は、勤務時間外において、
他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、
会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する
場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する
行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合」

▼社員にとって、本当に副業・兼業が必要か?
以前のブログにおいて、副業・兼業についてコメントしましたが、
現時点においては、特に中小零細企業において副業・兼業を
推奨することには消極的な意見を持っています。
社員にとって労働時間以外の使い方を会社が制限しないのは
当たり前のことです。
問題は、その労働時間以外に収入を得る目的で他の業種等で
「労働」を行うことの是非です。ガイドラインには、
社員が副業・兼業をしたい理由として、
「やりたい仕事であること、スキルアップ、資格の活用、十分な収入」
を理由としています。
しかし、「やりたい仕事」「スキルアップ」「資格の活用」
「十分な収入」は今の会社で十分に満足できものであるはずです。
人を大切にする会社は、これらの社員のニーズに十分沿う
経営をしています。
社員が就業時間以外にボランティアやその他の社会貢献を
するならともかく、収入を得る目的で他の業種で働くということは、
つまるところ本業に魅力が無いことの裏返しなのではないか、
と思えるのです。もっとも、唯一、視野を広げ、社員自身の
成長のために副業・兼業をするということはあり得ると思います。

▼人を大切にする会社の就業規則
 そこで副業・兼業については次のような規則はどうでしょうか。
「第〇条 社員は、勤務時間外において、他の会社等の業務に
従事しようと思う際には、会社とその内容・条件等について
協議をすることができます。
   2  会社は、前項の副業・兼業の申出の内容及び条件が、
社員本人の成長に質し、その社員、会社又は社会にとって
有益であると判断した場合には、その申出を許可します。
なお、会社がその申出を許可しない場合は、
具体的な理由をその社員に説明しなければなりません。」
 
原則、禁止にするのではありませんが、許可制にし、
会社も社員も納得した上で、副業・兼業を認めるという方向です。
いかがでしょうか?
 (学会 法務研究部会 常務理事 弁護士山田勝彦)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です