経営と教育

3月初めに小・中学校が一斉休校となりました。6月に分散登校が開始されるまでの間、自宅で過ごすこととなった小学5年生の息子の学習をどう進めるかを模索する過程で、経営と教育の関連について気づいたことが多々ありました。

教育についてのとある書籍に、現在の教育現場での課題を経営に喩えて説明した一説がありました。面白くて分かりやすいと思ったので、下記に紹介します。

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 学校組織は、街の商店街に喩えられます。一人ひとりの教師が、個々の商店を構えており(学校で言うならば、担任をしているクラス)、基本的には各自が個人事業主として商店(各クラス)を切り盛りしている状態です。商店街がまとまるのは、お祭りなどのイベント(行事)くらいです。日々の商売(教育)は、なんとなく両隣の商店(クラス)と歩調を合わせているといった感じです。全体を運営しているのは、商店街の会長(校長)がいますが、名誉職くらいの仕事内容で、お祭りのとりまとめや、外部と何かあった時の折衝役でしかないのではないかと思います。
 現在の学校を取り巻く状況は、商店街の状況と似ています。人々の消費行動が変化して、ショッピングモールができて、通販がすっかり普及し、人の流れが乏しくなっている。たとえトップが方針を示しても、トップダウンの指揮系統に慣れておらず、各商店も具体的に何をどうしたらいいのかがわからない。

 学校が変わっていくには、どこがどう動けばいいのでしょうか。一部のカリスマタイプの校長による学校改革が話題になりがちではありますが、カリスマタイプの校長はあくまでも希少な存在だからこそ「カリスマ」なのであり、また、本当の意味で外に発信されている情報と教育の中味が一致しているのか、検証してみることが重要です。
 では、現場の教師一人ひとりが手を組んで変えて行くボトムアップ型なのかというと、個人事業主の集まりが手を組んでやっていくのは、かなり困難を極めるのではないでしょうか。
 そこで提案したいのが、職員室のミドルアウトマネージャーの存在です。ミドルアウトマネージャーは、部長や主任といった、いわゆる中間管理職とは異なります。教師を管理するのではなく、その学校の教育方針を日々の教育内容に落とし込み、バラバラで動いている教育内容を有機的にまとめていく存在です。職員室の教師たちの日々の教育活動にアドバイスを行い、一つ一つの教育活動や事例などの「具体」を「抽象」的な共通言語にまとめていく役割を担います。
 校長や教頭といった管理職とも対等な関係を持ち、現場の教育内容と管理をつなげていく役割をも担います。
(書籍:先生、この「問題」教えられますか?―教育改革時代の学びの教科書 著者:石川一郎・矢萩邦彦 発行所:株式会社洋泉社 より抜粋)
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 一斉休校の間、一部の学校は一早くオンラインでの授業を開始しました。他方、オンライン化は全くせずに課題のプリントを定期的に配布してやり過ごした学校が少なからずあったようです。これも、外出自粛期間にテレワークや在宅勤務の導入を迫られた企業の対応に共通しています。
 視点を逆にして、商店街の個人事業主や中小企業を元気にして、よりよい社会を創っていくためには、第三者的立場から寄り添い個々の事業をまとめていくミドルアウトマネージャーが経営の現場でも必要なのではないでしょうか。

人を大切にする経営学会人財塾生 松久 知美

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