雇用を守り、命を守る

東京では、ここ数日、毎日のように鉄道の人身事故による運転見合わせ等のメッセージが流れています。ニュースでは、昨日、GINZA SIXの店舗が1日で14店閉鎖した旨の報道が流れました。

経済と自死との関係について、時々コメンテーターがコメントをしていますが、実証的にも関連があると思われます。

 日本で自死数が最も多かったのは、統計上は平成10年に前年の24,391人から32,863人と大幅に増加し、平成15年まで3万人台の高水準を維持し、その後徐々に減少していきました。一方でNHKによる「キーワードで見る年表 平成30年の歩み」によると平成10年のキーワードの筆頭は「貸し渋り」、4月の報道では、「失業率が初の4%台」とあり、平成11年のキーワードの筆頭は「リストラ」、3月には失業者が初めての300万人の大台に、との記事があります。平成13年9月には、1984年以来、日経平均株価が1万円を下回り、平成14年のキーワードの筆頭は「貸しはがし」、平成15年1月には、「完全失業率5.4% 過去最悪」、11月の報道では、「大卒就職内定率60% 氷河期続く」と報じられていました。このように、経済、特に雇用と自死数は相関関係があることは明らかです。

 昨年来、事業は破綻に至っていないのに、特に高齢のオーナー経営者による「あきらめ」廃業が続いています。その廃業により、多くの社員が路頭に迷い、その家族が経済的に厳しい生活を強いられています。もとより廃業を選択する経営者も苦渋の選択をしていることと思います。しかし、経営者としては、自分が経営できないまでも、他の人たちの力を借りて事業を継続して頂きたい。そして、どうしても廃業をせざるを得ないのであれば、せめて社員のその後の就職先を斡旋する努力をして欲しいと思います。

 また今回の新型コロナウイスルによる経済への影響は、特に一部の業態に厳しく、厳しい情勢の中でも堅調な企業も多くあります。堅調な企業の経営者の方には、少し思い切った人財採用をして欲しいと切に願います。  本日は、暗い話となりましたが、今こそ企業が一団となって、雇用を守り、命を守っていくべき時と思い、書かせて頂きました。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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