強い経営、その力とは

人生100年時代、大学に通うのは1度限りとは思えず、昨年4月から1年間千葉商科大学大学院にて人本経営学を学ばせて頂いた。人本経営学というのはその字の通り、人を中心に考える経営学である。私は仕事柄、多くの銀行員や会計人と関わることから、現在の冷たい管理型の経営評価や経営指導に再考を促したいと考えている。平たく言うなれば、「数字を見る」のか、もしくは「数字で見る」のかの違いである。

ところで筆者は、18年間勤めた地域金融機関を6年前に退職し、経営コンサルタントとして独立した。「起業とは崖から飛び降り、衝突するまでに飛行機を組み立てるようなもの」というリード・ホフマンの名言があるが、正しくそれを体現した数年間であった様に思う。銀行というところは数字でしか判断しない。なぜならば彼らはそれ相応のリスクを背負っているからである。ただ、そのリスクの背負い方は本当に正しいのだろうか。数字を見てさえいれば、その経営の正しさがエビデンスとして成立するのであろうか。

最近、事業性評価という一つのキーワードが金融業界で大流行している。筆者には、彼らがそれを理解して言葉として発信しているとは毛頭感じられない。なぜなら彼らの大半が経営の経験がないにも関わらず経営を語るサラリーマンであるからである。

事業を評価する上で一番大切なことは何か。それは今後数十年間経営の指揮を執るであろう経営者を評価することに他ならないのではないだろうか。企業の長期的な業績は、経営者やリーダーの人間性や生き方をそのまま反映するということがわかりつつある。つまり、それこそが事業性評価であると考えている。

強い経営を継続するには力が必要である。ただ、その力は他者を打ち負かす力ではなく、世のため人のために役立つ力であるべきである。社員やお取引先を犠牲にする経営は経営とは言い難い。

人格を無視した冷たい管理ではなく、背中や心で見せる心温まる経営を、経営者と支援者が一体になって今こそ目指すべきであると、コロナ禍に思うのである。

人財塾 3期生 見える化株式会社 田﨑薫

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