職場におけるワクチン・ハラスメント

職場におけるワクチン接種が始まりました。それに付随して、「ワクチン・ハラスメント」という言葉が世間で飛び交い始めました。

法律上、ワクチン・ハラスメントの規定はありません。それならば、ワクチン・ハラスメントは何の問題もないのか、といえばそういうわけにはいきません。

ハラスメントについては、いわゆるセクハラ、マタハラ及びパワハラしか法律的には規定はありません。しかしワクチン・ハラスメントもパワハラとなってしまう場合には、懲戒対象になったり、行政上の指導を受けることになったりしていまいます。

そもそもワクチンを受けるか否かは、任意であり個人が自ら意思決定をするものです。個人の尊厳、思想の自由等が認められるものです。ましてや今回のワクチンは通常の治験を行うことなく、また技術としても新しい方法によっています。個人には受けない自由があるのです。

ワクチン接種をするかどうかは、業務の必要性のない事項ですので、職場において、優越的な関係を背景とした言動であって、労働者の職業環境が害されるものは、パワハラになります。ワクチンを受けないことにより、職務上の不利益を受けたり、又は受けるような発言をするなどすることはパワハラになります。「営業がワクチンを受けないなんてあり得ない。お客様にご迷惑をかけてもいいのか。受けないなら他の部署に配置換えするしかないな。」などの発言はパワハラとなります。

また「自粛警察」のように同調圧力によって、部署内で無視をされたり、わざとその人を避けるようなことを集団で行えば、これもパワハラとなります。

その結果、本人が適応障害になったり、うつになったりした場合には、その原因となる言動を行った者は、民法上の不法行為責任を負い損害賠償請求を受けたり、会社も使用者責任を問われることもあります。

みんな自粛続きで、精神的にもイライラがつのる時期です。こんな時は、パワハラが起こりやすい環境にあるとも言えます。

ワクチン・ハラスメントをしないようにしよう、という自覚が大切です。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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