「瑕疵」から「不適合」へ

2020年4月から改正民法が施行されました。民法から「瑕疵(かし)」の文言が消えました。「瑕疵」は売買や請負などの契約に関して「欠点」の意味で使われてきました。対象物が壊れていたり、数量が少なかったりした場合に瑕疵があると言われていました。

「瑕疵」は、漢字検定準一級の対象漢字です。日常生活ではほとんど使われず、たまに使われることがあっても、「この棚、瑕疵があるねえ。」「え、お菓子ないじゃん。」などもダジャレで使われるくらいでした。

改正民法では、「不適合」つまり契約の内容に適合しない場合の責任とされることになりました。より一般社会に馴染む分かりやすい表現に変更されたと思います。このように規定されたことで、契約書において契約対象を出来るだけ具体的に特定することが民法改正前よりも、より重要となってきました。すでに改定されてから、1年を経過しましたので、目にとめていらっしゃる方も多いと思います。もっとも、今年になっても、従前の「瑕疵」を使った契約書をたまに見かけることがあります。すでに法律が改正されていますので、「瑕疵」といっても、民法上の規定がありませんので、その条項は宙に浮いた条項となってしまいますので、ご注意ください。

法律も少しずつ、社会の流れに適合しようとしていますが、歩みは亀よりもゆっくりです。時代の方が先に進み、そこに追いついていくことが出来ません。前述の「瑕疵」もなぜ2020年まで改正されなかったのか、不思議でなりません。

法律が追いつかないのであれば、法律の文言の解釈で時代に追いついていくしかありません。私たちも、日々の研鑽を怠ることなく、時代についていき、時代にあったサービスを提供できるようにしたいものです。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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