「もうかりまっか」の意味

日経デジタル版に、令和の考案者と言われている万葉学者の中西進さんの記事が出ていました。その中に「もうかりまっか」についてのコメントが載せられています。

儲けるには、「準備をする」という意味があり、「『もうかりまっか』を通じて、商売の準備はできているか、仕入れは不備なく万全かを問いかけ、互いに意識を高め合っていると考えられる。良い品をそろえ買い手を満足させようとする売り手の心持ちが『もうかりまっか』に宿る。売る商品を持ち合わせていない人は?個人的な才覚や技能を買ってもらおう。どうせ市場に参加するなら、弱い立場に置かれがちな買い手ではなく、売り手として押しだそう。あいさつ言葉には、普段着の人間の最も正直な素の部分が出る。『もうかりまっか』には、そんな積極性が表れているのでは。そこに大阪らしい合理精神が読み取れる。」(日経デジタル2021年9月1日「『もうかりまっか』に合理精神万葉学者・中西進さん」

 確かに、古語である「儲く(まうく)」を調べると、①準備する、用意する。②作り構える。こしらえる。という意味があるそうです。このように言葉の元を調べていくと、言葉のニュアンスは随分と違ったものに見えてきます。

 儲けといえば、「店が老いたらしまいや」で有名な半兵衛麩の玉置半兵衛さんの言葉が思い出されます。「ええか、しゃべることを「言」という。ニンベンを付けると「信」や。しゃべることは「云」うとも書く。ニンベンを付ければ「伝」。人はやるべきことをちゃんとやり、言うべきことをしっかり言ってこそ、伝わり、信じてもらえる。お客様にも、一緒に働いてくれる人たちにも、ちゃんと感謝の気持ちを伝えなさい。そうして「信」じ合う「者」が集ってこそ「儲」けになる。もう一度分けて「信」と「者」で信者。「この人の言うこと、やることは間違いない」と相手に信じてもらえてこそ、商売をつづけることができるのや。」(玉置半兵衛「半兵衛麩」)。

 儲けるというと、何となく拝金主義的、利益第一的なイメージを持ちがちですが、このように言葉の意味を考えると、そこには深い日本人の知恵と思いがあるように感じます。

「儲ける」という言葉は、経営者にとって重要な意味をもつ言葉なのだと改めて考えさせられました。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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