価格据え置きは、下請法違反になるおそれがあります!
公正取引委員会は、令和5年3月1日、中小企業等が労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるよう賃金引上げ実現に向けて新たに「令和5年中小企業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定しました。
すでに令和4年6月1日から令和5年5月31日までを調査対象期間とし、22業種、11万件を超える書面調査を実施し、協議を経ないで取引価格の据え置き等が疑われる事案については、立入り検査を行い、令和5年内を目途に調査結果ととりまとめて、公表することになっています。
その中で、公正取引委員会は、下請法上の買いたたき又は独占禁止法上の優越的地位の濫用として次のような具体的な例示をしています。
① 労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
つまり、発注者側から、価格の交渉の場において明示的に協議の場を設けるなどせずに、受注者側が自ら値上げを言い出しにくいことを利用して、漫然とそのままの据え置き価格で取引をするようなケースを問題としています。
② 労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
これは、受注者側からコスト上昇を踏まえた取引価格引き上げの要請を行ったのに、発注者側が文書による回答をせず、取引価格を据え置くような場合を問題としています。
これらの行為がある場合には、下請法上の買いたたき、又は独占禁止法上の優越的地位の濫用となるおそれがあることを十分に認識し、関係事業者団体におおいても、中小企業を守っていくことが大切です。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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