人を大切にすること=提供価値向上

円安で、輸出企業(自動車、電機、精密など)が恩恵を受ける企業がある一方、多くの企業が燃料・エネルギー価格の上昇でコスト負担が増えて、価格転嫁できない企業は収益厳しくなっています。円安が、なぜ起きるかで、メディアが取り上げるのは、日米金利格差です。しかし、当然、要因は、金利だけではありません。最も大きいのは「ファンダメンタル(基礎的競争力)」であり、次に、貿易収支の赤字です。そして、金利もいわれるように為替に影響があります。
こうしたことを市場が総合的に判断して、円安が進んでいます。
「IMD World Competitiveness Yearbook (WCY):IMD世界競争力年鑑」による2022年の調査結果では、日本は残念ながら34位となっています。

このことは、国だけでなく企業でも同じです。提供価値を高めないと、企業業績は下がります。しかし、このことについて勘違いがあると感じます。売上を上げることは提供価値を上げた結果です。そして、人を大切にする取組みは、提供価値を上げる社員のモチベーションに影響あるから重要なのです。つまり、人を大切にする=売上・利益が上がる と、提供価値向上が、式抜けてしまうと、結果として売上・利益が上がらず、人を大切にする余裕がなくなり悪循環になってしまいます。好循環するためには、直接的には提供価値を上げることが重要で、そうすれば、社員をはじめ関係者を大切にする余裕が生まれます。

話を国の話に戻すと、日本は少子高齢化が進み、また、かつての日本の強みが、デジタル化の波に押されて生産性が低いのは明らかです。なぜ、こうしたことになっているのか?真因は、危機意識が低いからではないかと思います。豊かさを満喫して、過去の恩恵がある間に立て直さないと明るい未来が日本には来ないのではないかと感じます。表面的な働き方改革は、結果として、人を大切にできない構造にもつながってしまっています。現在、アメリカよりも年間200時間以上短いのが現実(2022OECD発表)です。長時間労働がいいとは思いませんが、こうした数字をとっても、日本の働き方改革を問い直す必要があると感じます。一方、ドイツは、同調査では、日本よりも年間260時間も少ないにも関わらず、一人当たりGDPでは、日本が31位に対して20位、GDP全体でも、現在3位の日本が4位のドイツに抜かれることが、最近、話題になっています。
幸福度についても、働き涯を重視する属性の方、働き易さを重視する方など十人十色です。まさに、もう一度、人を大切にする経営と、その企業が提供する価値、さらに、関係者の幸福度について問い直しが重要ですので、再度、学会でも研究会を再度集い整理しいと思います。

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