こんな時だからこそBCPを

1月1日、能登半島を中心に大きな地震が発生しました。多くの人が復旧のために懸命に努力をされておりますが、18日経った今でも、全く復旧の目途すら立っていません。まずは被災された皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。

 今、私たちが能登の住民の方々のためにできることをする、ということは当然のことですが、それと共に地震列島に住む私たちは、明日は自分の身にも降りかかる災害であることを再認識し、今後の備えをすることも大切です。

 改めて、私たちの会社が設定してBCPは十分機能するかを検証すること、もし未だBCPを策定していないのであれば、いち早く策定することです。帝国データバンクの2023年の意識調査によれば、BCPを策定している企業は18.4%、策定中の企業が7.5%と、合せて26%しかありません。調査の有効回答企業数は1万1420社とのことですので、策定している会社は3,000社を下回ることとなります。一方で、策定を検討している会社を合せて、策定意欲のある会社は48.6%しかありません。同調査によれば策定意欲は3年連続で5割を下回っているとのことです。

 行政は多くの策定のマニュアルを用意しています。ISO22301もあります。しかし、実際に私たちの会社に落とし込むとき、何を、どうすればよいのか分からない、マニュアルはあまりにも私たちの会社の実態とはかけ離れている等の問題があるのだと思います。

 BCPは、企業が自然災害や人災(火災やテロなど)が発生した際に、事業の早期復旧・継続をどうしたら可能とできるかを想定し、計画することです。

 最もシンプルに考えれば、私たちの会社にとって、最重要業務は何か、どの業務をまず最初に復旧するべきかを見定め、その復旧のボトルネックを分析し、その対策をとることです。ボトルネックは、概ね人(社員や社外社員)、施設・機会等の利用、情報システムの利用、インフラの利用でしょうか。これに対して、具体的にどのようにこれらの事象を解消していくかが重要となります。

 全てを完全な形でマニュアル化をすることはとても大変な作業です。しかし、現実の災害を目の当たりにし、我がことと考えれば、具体的に何をすべきかを想定しやすいと思います。

 この時期にこそ、是非BCPを策定し、もしBCPを策定している会社があれば、それが有効かを検証してみてはいかがでしょうか。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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