地域共生社会は組織連携で実現する

日本商工会議所の前会頭の三村明夫氏や、日本郵政社長の増田寛也氏ら有識者のグループが記者会見を開いて人口問題に関する提言が2024年1月9日に発表され、ニュースになりました。提言では、人口減少が続けば市場の縮小で経済社会システムが現状を維持できなくなり先行して人口が減少する地方で消滅する自治体が相次ぐと指摘しています。
そして、一昨年の1.26となっている合計特殊出生率を、2060年に人口を長期的に維持するのに必要な2.07に改善させ、2100年に人口を8000万人の規模で安定させて成長力のある社会を構築することを目指すべき。
(以上、NHKニュースからの抜粋と加工要約)

人口減少社会においては、インフラの維持も難しくなり、地域の中でも比較的人口が多い市町村に移動せざるを得ないことが加速し、まさに、限界集落化が進むことは既に全国あちらこちらで起きていることです。
このように、数えきれなく位ある地域課題の中でも起因であり、最も深刻なのは人口減少であることは間違いありません。そうした中、厚生労働省は、地域包括ケアシステムとして、高齢化社会で互いに助け合い支え合っていく地域の在り方を2003年に打ち出しました。しかし、20年経った今、実際のところ十分には機能していないのが実態だと感じます。その理由は以下の通りです。
要因1
地域コミュニティーの希薄化は、町内会の参加率が都市部で約30%、地方においても約80%と進んでいる。
要因2.
見守りネットワークにおいて、見守る方も高齢化している状況で、特に地方では顕著である。

(厚生労働省HPより)
 つまり、家庭で言えば、老々介護の構図と同じように、地域においても共生する人も高齢化により無理があるのです。
 そうした中、私は、企業や各種団体が組織を越えて地域の課題解決することが効果的であると考えています。現在、東京では、異業種(JA全国連、日生協、NTTドコモ、JR東日本、ヤマト運輸)の選抜メンバーで研修会を藤井がコーディネートし、毎年実施しています。こちらは、インフラ各社がそれぞれの組織が持つ、経営資源やノウハウを持ち寄って社会問題の解決を検討するための取組みであり、ダイナミックな提案が繰り広げられています。

 地方でもこうした取組みがスタートしました。半年間、藤井がコーディネートし、複数の地域課題解決に実績があるつわもの講師陣で、下関市、山口フィナンシャルグループ、日立の選抜メンバーで組織を越えた研修会を実施しました。その中で一部学会関係者では、三村岡山大学副学長にもモビリティーの課題でご助言をいただきました。そして、さる1月15日下関市、山口フィナンシャルグループ、日立の3社で下関市の地域課題解決策の発表会では、前田下関市長、山口フィナンシャルグループ椋梨CEO、日立中国支社長に、組織を越えた混合5チームで5つの提言を行いました。
マスコミの関心も高く、NHKをはじめテレビ局4社、日経、共同通信をはじめ、新聞局が8社が発表会の様子を見に来て報道してくれました。NHKで報道されたのは下記のURLです。記事の中に、1分~2分の短い動画が掲載されていますので、是非、ご覧になってください。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20240115/4060019136.html

学会員の方には、三村教授のような研究者、日本でいちばん大切にしたい会社大賞受賞企業をはじめ組織が数多く優良企業が在籍しています。社会・地域課題を解決する上で、近い将来、連携した研究会ができないかと思います。そして、こうした取組みにおいては、改めて感じるのは、社会・地域課題解決においても、人を大切にすることのマインドが土台が重要であると実感します。 (事務局長 藤井 正隆)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です