ケインズ経済学の亡霊とお金中毒の弊害から脱皮する
三本の矢と言われるアベノミクスは、
【大胆な金融政策】・・・流通するお金の量を増やす
【機動的な財政政策】・・・公共事業に着手
【民間投資を喚起する成長戦略】・・・経済を発展させる
です。もう、40年近く前になりますが、私が大学で初めて学んだ経済学は、「ケインズ理論」です。
ケインズ理論は、平たく言えば、景気の悪いときは政府が支出(公共投資による有効需要の創出)をし、お金の回りを良くして景気や雇用を支えることが必要であるといったケインズがこの考え方を確立した英国は、戦後の先進各国における経済政策の中心的な考え方となっています。
アメリカでは大恐慌に苦しんだルーズベルト大統領によるニューディール政策で、多くの人を悲惨から救ったと習いました。今でも経済政策の第一に考えらており、日本でもこの考え方に基づいて、景気が悪くなると政府が財政支出を増やして景気を下支えする、ということが繰り返されてきました。
そして、同じように、アベノミクスでも大判振る舞いです。しかし、この政策は、一次的には、若者が喜んでいるように、売り手市場となり就職が有利になるといったプラスもあるものの、国の借金を増大させるといったマイナスもあります。
非ケインズ効果といったこともいわれています。
1980年代のデンマークやスウェーデン等の北欧諸国で「増税したら景気が良くなった」という現象です。「不況になったら減税や公共投資をする」というケインズ経済学の考え方とは真逆です。
「逆に増税が決まって国の先行きが見えてくると、人々はそれに安心して支出を増える」というのが、非ケインズ効果です。将来不安であれあ、一時的にお金が回っても、やがて、巨額の借金が増えていくのはある意味、必然なことだと思います。
最近、坂本光司会長と、人を大切にする経営人財塾の塾生らと訪問した企業に株式会社アシストがあります。この創業者のビル・トッテン氏は、ある意味、ケインズでもない、非ケインズ効果でもない、独自の経済学を示しています。
課税による略奪が日本経済を殺した 「20年デフレ」の真犯人がついにわかった! (ヒカルランド社)」では、個人所得税、法人税、相続税を廃止し、新設し地価税、株式売買税、外国為替取引税を新設すれば、日本経済は復活すると言うのです。
また、トッテン氏は、資本主義の限界を指摘し、お金中心の社会は人を不幸せにするといいます。
アシストは、ソフトウエアのパッケージ会社で、コストのほとんどは人件費。今後、日本経済は、現在の6割程度にシュリンクしていく可能性をがあるとしながらも、売り上げが下がっても、人員整理のリストラはしないと宣言しています。給料の減額は、トッテン氏も含めて、多い人ほど多く減らす累進式に行うことを社員と約束しているのです。
一方、トッテン氏は、本来、給料を得ることは目標ではなく、幸福や健康が人の目標のはずであり、給料が減っても、衣食住に必要なことを自分で賄えば、生活には困らないでし、趣味などを充実させて、心の余裕を持って生活していってもいいのではないか?とし、トッテン氏自身も、京都で自然農園を楽しむ生活を送っています。
同時に、在宅勤務や週休3日制度を提案して、仕事のための拘束時間を短縮しようとしています。出社日数を減らせば、平均的な人で往復2時間の通勤時間が減らせます。
個人の話で言えば、家族と幸せな生活を送るために働くはずなのに、家族と過ごす時間を無理に削ってまで、より多くのおカネを得るために仕事をするということになっています。その挙句、忙しすぎて、過労で倒れたり、うつ病になってしまったりしまうといった本末転倒なことが起きていることも指摘しています。
お金に振り回されるのは、中毒のようなもので、そういうことをしない生活に慣れれば、まったく困らず、より幸福で健康な生活が送れるのではないかとトッテン氏は、指摘します。本当に、坂本会長と話す表現は違うものの、トッテン氏と坂本会長は、非常に価値観が近いと感じます。
アシストに訪問し、トッテン氏に会い、トッテン氏が書いた本を読むことで、自分なりに、経済、経営に関する考え方が整理できました。
まさに、「一社の企業への視察訪問、一人の素敵な人との出会いが、自分自身を変えるきっかけ」を作ってくれます。
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