人事・労務・総務担当者 必見です。(その2)

『同一労働同一賃金』とは何か(その4)

 前回に引き続き、横浜市の長澤運輸事件では、
なぜ退職した後の再雇用時の賃金格差が「不合理」と
判断されなかったのか、について見てみたいと思います。

【最高裁の分析】
 この会社では、正社員の給与規定と退職後の再雇用者の
給与規定とは、別々の規定が設けられていました。
 正社員の給与は手当を除くと次の基準でした。
 ①在籍給
 ②年齢給
 ③能率給(乗務するバラ車の種類(t数)による)
 ④職務給(乗務するバラ車の種類(t数)による)
これに対し、退職後の再雇用者についての給与は
次の基準でした。
 ①基本給
 ②歩合給(乗務するバラ車の種類(t数)による)
 ③調整給(老齢厚生年金の支給まで)
なお、この退職後の再雇用者の給与規定は労働組合との
団体交渉によって、当初の給与案よりも高くなり、
労働組合は定年退職前と同額の賃金を要求しましたが、
会社は、そこまでは応じませんでした。
この給与体系は次のようになっていました。
退職前の①在籍給+②年齢給<退職後の①基本給
固定給で見ると、退職後の基本給の方が高くなっています。
退職前の③能率給×2~3=退職後の②歩合給
正社員の能率給と退職後の歩合給を比較すると2~3倍の
割合に設定されています。
もっとも、退職後の再雇用者には、正社員の④職能給がなく、
この職能給が比較的高額に設定されているため、
合計額では退職前と退職後の給与の総額が
10%~12%程度違いが生じました。

【結論】
退職前と退職後の総賃金料が不合理となるかどうかは、
給与体系がどのように作られているか、
その給与体系において、退職後の再雇用者については、
正社員と全く同じ給与体系ではなくても、
基本給、能力給(≒歩合給)のように基本的な
給与体系の建付が同じであり、
かつ、総額の差が極端にひらいていなければ、
不合理とは言えないと考えられます。
いづれにしても、どのような思想の給与体系を
作っているのかが重要となります。

(常任理事  弁護士山田勝彦)

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