ちょっと気になるセクシャルハラスメント

ちょっと気になるセクシャルハラスメント

最近、アメリカの某有名プロディーサーのセクシャルハラスメント
(以下、「セクハラ」といいます)に端を発した「Me Too」運動、
財務省前事務次官や前狛江市長のセクハラ問題、
とセクハラへの関心が高まっています。
麻生大臣の
「セクハラ罪という罪はない。殺人とか強制わいせつと違って」
との発言も記憶に新しいところです。

セクハラは禁止されていない?
では、法律はどうなっているのか?
確かに、セクハラは法律によって明確には禁止されていません。
ならば、セクハラをしても問題にならないのか、
というとそうはいきません。
裁判では、セクハラは、民法の不法行為として
損害賠償の対象になっていますし、会社も管理を怠ると、
使用者責任として損害賠償の義務を負ってしまいます。
よく「相手は嫌がっていなかった」という言い訳を聞きますが、
裁判では、
「職場内で行われた場合には、上下関係による抑圧や、
同僚との友好的関係を保とうとしたり、あるいは事件が
公になると会社にいづらくなるといった気持ちが働くため」
直接的に抵抗等していなかったとしても
セクハラは認められてしまいます。

企業の義務は? 
セクハラが法律で規定されているのは、皆さんご承知のとおり、
「雇用機会均等法11条」の規定です。
事業主に雇用管理上の措置義務が規定されています。
セクハラを受けた社員が、その後も仕事がしやすいように
相談に応じて、適切に対応するために必要な体制の整備をすることが
義務付けられています。
放置すると労働局から是正指導を受けることもあります。
2017年度は、3,860件の是正指導が実施されました。

裁判だけではない? 
被害を受けた社員が訴える場としては、前述した裁判だけでなく、
労働局があります。労働局は、社員からの相談に応じ、
労働局が紛争解決の支援をしたり、また調停を行なうという
仕組みもあります。さらに、情報を知った労働局から、
前述の是正指導が入る場合もあります。

経営者の責任
パワハラと違い、セクハラはまだまだ世の中に浸透しておらず、
加害者の方も無意識に行ってしまう場合があります。
本人も、それが相手にとって嫌な思いをさせてしまっている
ことが分かれば、やっていなかったかもしれません。
会社がきちんと対応すれば、解決できるものも多くあります。
経営者としては、裁判や是正指導を受けるような事態になる前に、
相談窓口を設置するなどセクハラを相談しやすい環境を作り、
相談があれば、事実を調査し、セクハラを受けた社員が、
これからも気持ちよく仕事が続けられる環境作りに
努力することが大切です。
(常任理事 弁護士 山田勝彦)

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