「産後パパ育休」活用されていますか?

「産後パパ育休」活用されていますか?

2022年10月から、産後パパ育休の制度が出来ました。産後パパ育休の特徴は、これまでの育休に加えて、男性に対し、①子どもの出生後8週間以内が適用対象、②4週間分、一括でも2回に分けて分割でも取得可能、③労使協定があれば、休業期間中所定労働日の半分、所定労働時間の半分を上限として勤務も可能、というものです。

 昔と比べて、出産後の母子の退院は早くなっており、出産により体力が衰退した母親と子どもの世話や家事等を夫がすることができるようにした制度です。

 2022年第4号「人を大切にする経営」「人を大切にする少子化対策」の対談の中で、株式会社琉球補聴器代表取締役の森山賢さんが、「奥さんが育休を取っているときは赤ちゃんに本当に手がかかるときですよね。産れたてのときに、沐浴や毎日のおしめ交換まですべて奥さんと一緒になってやることに意味があると思っています。」と述べられている通りだと思います。私はほとんど育児も家事も関わらないダメ夫でしたが、仕事が終わり、お付き合いで飲酒をし、午前様で家に帰ると、部屋を真っ暗にして、泣き止まない子どもをあやしながら、泣いていた妻の様子が今でも目に浮かびます。

弁護士業界の若い世代では男性の育休をきちんと取ろうとする傾向が出てきており、素晴らしいことだと思います。

それでもなお、一般の企業において、男性が育休を取ることは抵抗があるのではないでしょうか。本来育休期間中は、昼夜を問わず子どもの面倒をみなければならないので、本来はきちんとその期間を休むべきです。しかし中小企業だと一人休むことによって、業務に影響がどうしても出てしまう場面もあり、その結果、いくら経営者が休んでもいいと言っても、休めない社員さんも出てきてしまうのだと思います。その妥協の産物が、前述した③の育休中も所定労働日の半分、所定労働時間の半分の限度で仕事もできるという制度です。

まず制度を利活用することが重要です。難しければ労使協定を結んで、休業中でも仕事を出来るようにしてでも育休を取りやすくすることが必要です。場合によっては前述した対談で株式会社こんの代表取締役紺野道昭さんが発言しているように「愛ある強制」として休業を取らせることも一つの方法です。

対談の中で、株式会社ネオレックスCEOの駒井研司さんが発言していたように「大前提は、結婚とか子どもを持つことはあくまで個人の自由であって、結婚をしない、あるいは、子どもを持たないという選択もまた各自の自由」だということを肝に銘じつつ、社内すべての人が寛容の心をもって、子どもを持つ同僚を暖かく見守る風土を作ることが何より一番大切なことだと思うのです。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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